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#12. もう分からない、あの道の魅力

2024年3月23日に、佐藤友美さん主催「さとゆみゼミ」を卒業。卒業後も、文章力・表現力をメキメキと上げ続けるため、仲間と共に、note投稿1,000日チャレンジをスタート。

Challenge #12

昨日、仕事で市内の小中学校を訪れた。駐車場まで続く坂道は桜の花びらでびっしりと覆われていた。ほんの少し申し訳ない気持ちで、薄ピンク色の絨毯に車を踏み入れていく。

「やっぱり入学式には、桜、間に合いませんね」私は助手席から、運転している上司に話しかけた。


市内のすべての小中学校は、4月10日に入学式を開催する。あと5日もすると、ほとんどが葉桜になるだろう。


入学式が終わると、毎年よく見かける光景がある。そして、私はその光景がとても、好きだ。

学校帰り、とぼとぼ歩く小学1年生。まだ、大きなランドセルと小さな身体が、なじんでいない。その目はどこを見ているのか、宇宙を彷徨っているかのようだ。急に座り込んで、何かを(草or虫?)じーーっと見つめてみたり。車工場や建設現場の前で立ち止まり、しばし動かなくなったり。


そういえば、次男が小学生になったとき、いつも帰りが遅く心配した。終業時間を2時間くらい過ぎているのに、帰ってこないこともあった。

ある日、あまりに心配になって、家の近くの大通りまで探しに行ったことがある。大通りの100メートルほど向こうから、次男がちょこちょこ歩いてくるのが見えた。友だちの1人と一緒だった。「やっと帰ってきたか」とホッとしたのも束の間、くるりと右に曲がり細い路地に入っていった。「そんな道、あったっけ?」と、存在も認知していなかったほどの、細い路地。

帰宅した次男に聞いてみると、たくさんの「通学路」を発見しているらしい。「『おすすめの道』があるから、一緒にいこう!」と誘われた。一緒に歩いてみると、細い道に荒い階段、ネコが好んで通りそうな道だった。

もう高校生になった次男。「おすすめの道」の話をしてみたが、覚えていないらしい。あのとき、もっと話を聞いておけばよかったな。あの道のどこに魅力を感じたんだろう。きらりポイントはどこだった?彼の目線、目の高さに合わせて周りを見てみたら、きっと、もっと面白かっただろう。

これから新一年生になる子どもたち。ワクワクをいっぱい発見してほしい。ドキドキやワクワクを忘れてしまった大人にも、少しだけ「秘密」をお裾分けしてくれるといいな。

おーつーさんのnoteを読んで、次男の「おすすめの道」のことを思い出した。こんな風に、子どもを待ってあげられる人でいたい。




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