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スポーツ紙で感じる冬の訪れ ~新聞休刊日のスポーツ紙即売特別版~

月1回の新聞休刊日には1月2日を除きスポーツ紙の「即売特別版」が駅売店やコンビニで発行されます。朝の通勤途中で1部買い求める方も多いかと思います。
東京では「スポーツニッポン(スポニチ)」「日刊スポーツ」「報知新聞(スポーツ報知)」「サンケイスポーツ(サンスポ)」「東京中日スポーツ(トーチュウ)」「デイリースポーツ」の6種類の即売特別版が揃い、大阪では「スポーツニッポン」「日刊スポーツ」「報知新聞」「サンケイスポーツ」「デイリースポーツ」の5種類の即売特別版が揃います。

しかし、地方ではそこまで充実はしていません。
富山県では即売特別版を発行しているのは「報知新聞」のみです。JR/あいの風とやま鉄道富山駅構内のかつてのキヨスクの流れをくむコンビニ「セブンイレブン」2ヶ所のみで「スポーツニッポン」「日刊スポーツ」「サンケイスポーツ」が例外的に売られていますが、市中コンビニで手に入るのはあくまでも「報知新聞」のみです。
富山県は「報知新聞」の親会社「読売新聞」の中興の祖である正力松太郎氏の故郷(射水郡大門町・現在の射水市)であり、その関係もあってか県内第2の都市、高岡市に「読売新聞北陸支社」があり、富山・石川両県向けの「読売新聞」の発行所にもなっています。更に大都市圏以外では珍しい夕刊を発行しています。

「読売新聞北陸支社」発行の夕刊

以前は高岡市にある「北陸読売会館」ビルの横に印刷工場があり、「読売新聞」と「報知新聞」を現地印刷していましたが輪転機の経年による交換時期が来たのを契機に自社印刷を止め、富山市にある地元紙「北日本新聞」の印刷工場に委託をしています。

前置きが長くなりましたが、富山県では新聞休刊日に「報知新聞」のみが即売特別版を発行しています。これが、通常の「報知新聞」よりも締切時刻が遅い紙面になっているのです。

通常、富山県内で売られている「報知新聞」は「7版」が販売されます。これは首都圏でいいますと北関東など、それなりに距離がある地域で販売される紙面で、概ね21時~22時頃の締切でありプロ野球ナイターが延長戦入りするなど試合終了が長引いた場合は試合結果が載らない事があります。
すぐ近くで印刷しているのに東京都心部で出回っているような締切時刻が遅い「11版」の紙面が読めないのは非常に残念ですが、これは印刷所の輪転機の関係で「読売新聞」本紙の印刷を優先するため、早い時間に印刷を終えてしまうものと思われます。

しかし新聞休刊日は「読売新聞」朝刊の印刷がないので、「報知新聞」の印刷を遅くずらす事が出来ます。それで即売特別版は首都圏では東京への通勤圏内にある郊外の駅売店やコンビニで販売されている紙面と同様の紙面「9版」になります。

2021年11月15日(月)付「報知新聞」即売特別版の題字。左に小さく「9版」とある。

これがプロ野球シーズンが終わった12月中旬頃から翌年3月上旬頃まで、即売特別版でも締切時刻が早い「7版」になってしまうのです。

2021年12月13日(月)付「報知新聞」即売特別版の題字。左上に小さく「7版」とある。

プロ野球シーズンも終わり、当然ナイター試合もないので余程の事がない限り不都合はないのですが、少々残念です。
これは冬季の北陸では降雪による印刷所から販売店への配送時間の遅延を見越した「冬ダイヤ」で紙面を印刷しているのです。通常の紙面も「7版」からより締切時刻が早い「6版」になってしまいます。
他に北陸で現地印刷をしているスポーツ紙として石川県で印刷している「中日スポーツ」もありますが、こちらも通常は名古屋近郊向けと同じ「4版」の所、同様に12月中旬から翌年3月上旬まで「3版」になります。
冬季に降雪で輸送遅延が見込まれるのは北陸以外にも北海道や東北地方でも考えられるのですが、知っている限りでこのような対応を取っているのは北陸で印刷しているスポーツ紙2紙のみです。

今年の1月に富山県をはじめとする北陸では大雪が降り、高速道路や幹線国道でトラックが立ち往生するなど交通が混乱しましたが、新聞も同様に数日間富山県外で印刷した新聞が届かない日がありました。地元紙「北日本新聞」も販売店からの配達が出来ない日もあったと聞きます。

今冬は「ラ・ニーニャ現象」で大雪が予想されていますが、今から戦々恐々としています。


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