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桃太郎 銀蝿一家最強のボーカリスト

数多く存在する銀蝿一家のボーカリスト中でオレが信頼できる男が2人いる。横浜銀蝿の翔くんと紅麗威甦の桃くんだ。翔くんは別で書くとして、今日は桃くんにスポットを当てて書いてみたい。

なぜ彼が桃太郎という名前なのかは知らないがデビューしてから今でも桃太郎としてやっている。桃くんは大きく分けると紅麗威甦時代とブラックサタン時代があるが、ブラックサタンについては別のコラムで書きたいので今回は紅麗威甦時代の桃くん限定で書こうと思う。

桃くんは紅麗威甦のドラムとしてデビューした。デビュー曲「ぶりっこRock'n Roll」ではお馴染みの「え〜うそ〜ほんとに〜やっだぁ〜」って声が印象に残っている。「ぶりっこRock'n Roll」と同時発売のファーストアルバムではドラムながらもすでに何曲かボーカルをとっている。オレがはじめて桃くんのボーカルに興味を持ったのは「Tokimeki Sweet16」だった。歌い方がすごく丁寧なのが印象的で声が耳に入ってきやすいので歌詞がよく聞き取れる。表現力も高いと感じる。
そして桃くんが良いボーカリストとして評価されたきっかけとして2枚目のアルバムでの「Yukiko」の存在は大きいのではないか。

 お前だけさ 本気なんだぜ Yukiko
 燃える思い 伝えたいのさ Yukiko
 何もできない 俺が歌うのは
 お前に贈る 愛の歌だぜ
 お前に贈る 愛の歌だぜ

けして歌が上手いわけではないが、彼の歌は曲がドラマティックになる激情型ハスキーボイス。この激情型スタイルがラブソングを相手に伝えるという一番大切な部分で発揮されている。当時魅了された人も数多くいるだろう。
なんだか褒めすぎのような気もするけれど、ほんとにいいボーカリストなのである。

桃くんのボーカルの特徴は2つある。なんといってもあのしゃくり上げるような歌い方だろう。そして、意識的にやっているのか、自然とそうなるのかは不明だが、声が震えるようなビブラートもまた特徴的だ。このセットが彼のSexyな声の絶対的必要要素だと考える。このセットはブラックサタンになってからが顕著に出ていて紅麗威甦の時はまだクセが少ない。

 切なさ 涙に 変えてみても
 あなたに 会えない 別れの季節
 いつかは 必ず あなたのそばで
 生きてく私よ 
 心決めて 待っているの 夢あたためて

紅麗威甦後期といえば、なんといっても「夢・あたためて」が名曲中の名曲。卒業を前にした甘酸っぱい思い出が蘇るこの名曲は桃太郎が歌詞を書いて歌っている。以前書いたコラム『紅麗威甦 ボーカリストの謎』において、桃太郎が歌うと名曲になるのか?名曲だから桃太郎に歌わせたのか?が分からないが…と書いたが、この曲は桃太郎が歌ってこその名曲だと感じる。桃太郎のセリフから始まる「GOOD-BYE Rock'n Roller」なんかもまたしかりである。

いつくか曲を挙げて桃くんのボーカルを紹介したが彼の一番の代表作は「桃子の唄」であろう。ソロでシングルをリリースしている。おそらく「桃太郎のボーカルで一番好きなのは?」という質問があったら10人中8人はこの歌を挙げるだろう。

 Oh, My Little Lady なんだかやけに
 Yes, My Little Lady しびれちまうのさ
 やばい恋に なりそうな予感
 そいつもいいさ 気分はロックンロール
 そいつもいいさ 気分はロックンロール

桃太郎の声をじっくり聞くには紅麗威甦バージョンではなく、桃太郎ソロの「桃子の唄」の方が断然にいい。
まず印象に残るのが終始優しく丁寧に歌っているところだ。そのおかげでラブソングとして実に耳に残る曲に仕上がっている。まったく色褪せない。けして新しくはないが古さも感じない。今聞いても名曲だ。時代を越えて愛されるのがこの「桃子の唄」であろう。

杉本哲太を除いた3人でやってるバンドが紅麗威。この紅麗威、今でも不定期ながら活動している。
音源を聞くとまたこれがいい。抜群にいい。いい意味でどっしり構えた感じで貫禄が出ている。ここでの桃くんの歌い方はかなり力みが抜けている。ナチュラルな桃くんの歌が聞きたければこの時期の桃くんを聞くのが良いだろう。紅麗威甦では哲太が歌っていた「遅すぎたシンデレラ」「GOOD-BYE LONELY」「好きさ好きさ好きさ好きさ好きさ」なんかを桃くんが歌っているのだ。これは最高に決まってる。ここまできたら紅麗威甦の曲は全部桃くんに歌って欲しいとすら思う。

 学生らしく 若者らしく
 生きろと いつも大人たちは
 言ってるけれど
 学生らしく 若者らしくとは
 なんだろう それだけじゃ
 誰にも 分りはしない

紅麗威甦時代は哲太が歌っていた「時代を越えて」なんて元々歌詞がいい曲だったが、桃くんが歌うと説得力が増している。若者の気持ちを代弁したような、当時かなり支持された曲だが、今でも勇気が湧く曲になっている。次に紅麗威がライブをやる時は必ず参加して生で桃くんの歌を聞きたいと強く思っている。

 好きで 生まれた わけじゃない
 望んで 生まれた わけじゃない
 いつくも道を踏み外し           
 親を泣かせて15年

 15歳で オバンと言われます
 だから 急いで 生きるのさ

そういえば紅麗威甦の「15歳でオバンと言われます」という、もはや演歌かムード歌謡かというような重たい歌詞のミディアムナンバーで歌ってる桃くんはハマりすぎてて驚く。どんな曲も自分のものにしてしまうのは良いシンガーの鉄則でもあるだろう。桃太郎とはそういう男だ。

桃くんのハスキーでドラマティックな歌い方は今でもまったく変わってない。やろうとしてやってるわけじゃない。おそらく天性のボーカリストなのだろう。もっともっと注目されて欲しいホンモノのロックンロールボーカリストなのだ。銀蝿一家のボーカリストの中では圧倒的な存在感の翔くんを差し置いて、桃太郎が最強のボーカリストだとオレは断言する。桃太郎が歌うと名曲になる説がいよいよ有力になってきた。


it's only Rock'n Roll

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