嶋大輔★杉本哲太の存在感
銀蝿から排出された数多くの弟分妹分。その銀蝿一家の中でひときわ輝いていた男たちがいる。嶋大輔と杉本哲太の2人だ。
嶋大輔はT.C.R 横浜銀蝿 R.S+嶋大輔として、杉本哲太は紅麗威甦のメンバーとして芸能界に現れた。最初は頼りない雰囲気もあったが、その後それぞれソロデビューも果たし、2人とも一気にスターダムに乗って今でも芸能界で活躍している数少ない弟分たちだ。今でもこそ大物俳優の仲間入りした杉本哲太もこの頃はまだ演技もたどたどしくて微笑ましい若者だった。嶋大輔がこの後参議院選挙に立候補すると言い出すなんて想像したものは誰ひとりとしていないだろう。とにかくこの2人は、銀蝿一家の枠を限界突破して広げまくった男たちなのだ。
弟分の中のツートップともいえるこの2人は当然比べられたし、クラスでも大輔派と哲太派に分かれていた。どちらも長身のツッパリであることは共通するが、それぞれに個性があり、対極の存在であった。簡単に2人の対極さを表してみると以下のようになる。
大輔 : 白 哲太 : 黒
大輔 : 暖 哲太:冷
大輔 : 偶数 哲太 : 奇数
オレの2人へのイメージを表すとこういう感じになる。このイメージが正しければ2人は正反対といえるだろう。当時大輔派や哲太派を自称する女子たちにもはや不良はいなかった。不良っぽい雰囲気のある子はいたが、ほとんどが普通の真面目な女子たちだ。そんな普通の女子たちが銀蝿一家の誰が好きだ、どの曲がいいだの話をしているのだから銀蝿一家の人気の浸透具合はかなりのものだったことが分かるだろう。ちなみにツートップはこの2人だが、スリートップとしたらここに矢吹薫が入ってくる。矢吹薫はこのツートップ2人とはまた違う存在感でもっともアイドル的要素があり、一瞬にして今まで銀蝿や銀蝿一家に興味がない女子までもが飛びついていた。はっきり言ってこの3人が銀蝿一家の女子からの人気を引っ張っていたといっていいだろう。
大輔と哲太が人気絶頂の時にリリースされたのが「大輔★哲太のRock'n Roll」このシングルは、嶋大輔 杉本哲太+1としてリリースされている。+1はデビュー前の矢吹薫だ。(当時の名前は芝一彦だったと思う)このタイミングにこの3人でシングルをリリースし、テレビで歌うことで銀蝿一家はさらに飛躍した。レコードジャケットに並ぶ3人は黒い革ジャンでポーズ決めた男前なスリーショットだが、曲が始まるとこれがもう最高なコミックソングだった。イントロのホーンセクションが間抜け具合を強調してるかのような出来栄えで力が抜けるくらいのコミカルなナンバーだった。
ボーカルは大輔と哲太、ギターを矢吹薫が弾いたこの曲。若い不良の男子の大輔と哲太が喫茶店の可愛いウエイトレスを巡って取り合うという歌詞のコミックソングだ。歌も2人が代わる代わる出てきてお互いを罵しるという、ツッパリ・不良のイメージだけではなく、10代男子にはよくあるシュチュエーションをコミカルに歌ったこの曲の存在は、もはや銀蝿一家の枠がツッパリ・不良だけのものではなくなっていることを証明していた。そう、不良以外の若者も熱狂していたのだった。
おわらいサ マンガだぜ
ほとんどビョーキさ俺達
せつなくて このザマじゃ
涙も出やしねェ…
結局この可愛いウエイトレスには彼氏がいて、2人とも見事に失恋するズッコケ具合が笑えるし、当時のツッパリ文化の微笑ましさを感じる歌詞である。横浜銀蝿のツッパリや車、バイクとは違う局面からこのツートップをフィーチャーするあたりのセンスが面白い。さらにその後ギンギンのアイドルでデビューする矢吹薫が+1として参加しているところなんかは当時長期間にわたって人気絶頂だった銀蝿一家らしさが溢れている。この辺りではもう、銀蝿=不良の枠を軽々と飛び越えていた印象だ。
ちなみにこの曲の作詞作曲は銀蝿の翔くんである。歌詞が実に翔くんらしくて最高である。これはきっと翔くんが若い頃にJohnnyとひとりの可愛い女の子を取り合いした時の実話じゃないか?とついつい想像してニヤけてしまう。
嶋大輔と杉本哲太。
当時絶頂だった若者2人が、「カッコいい」で売り出しながらも「面白い」「かわいい」さらには「かっこ悪い」面までもさらけ出し、なんでもありのスタイルでいけたのは、当時の芸能界に於いて銀蝿一家が無敵の集団だったといえる。
音楽だけでなく、ファッションやイメージそのもの全てが銀蝿=不良だった時代に、その不良の雰囲気を持ちながらもキュートな一面を出し惜しみせずに爆発させ世間に飛び出していった嶋大輔と杉本哲太は銀蝿一家の中でも圧倒的な存在感だったのだ。
it's only Rock'n Roll
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