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お・も・て・な・し、が自己満足にならないために

気持ちは分かる!けど、そう簡単なことではない。

日本企業が中国人相手の新しいサービスを手掛けたり、スタートしようとしたりしているという話を今でも定期的に私の耳に入ってきます。特に「日本の観光や買物についてなどの情報サービス」「中国人観光客向けの新商品を開発したい」などという話が多い印象です。

もちろん、気持ちは分かります。訪日中国人は今後も増える見込みですし(コロナ影響は一旦置いておいて)、情報サービスを提供している日本企業も少ないし、中国人の方が気に入りそうな商品を作れば、今まで以上に売れそうな予感はします。いわゆる「おもてなし」になりますしね。

ただ、結論を言うと、まず成功はしないでしょう。


資本主義と社会主義、国の根幹が違うことを肝に銘じるべし!

まずは、情報などのサービス系ビジネスが成功しない理由について。
答えは簡単です。間違いなく、中国の方が色々なサービスが充実していて、中国人の生活文化に根付いているからです。そのすでに根付いているサービス文化に、割って入るだけのオリジナリティと、中国の超大手企業に負けないだけの莫大なマーケティング予算が日本企業にあるでしょうか?絶対に、ないですよね。そんな莫大なお金、この令和の時代に日本企業が投資するとは思えません。

例えば、日本人がネット検索をするときに7~8割がgoogleを使うと言われています。ここに中国の検索エンジン最大手の百度が、そんなに予算をかけずに日本人向けサービスをスタートしたところで、百度がgoogleに勝てるでしょうか?よっぽどのオリジナリティとマーケティング予算をかけないと、絶対に勝てないですよね?ただ中国企業の場合はめちゃくちゃお金をかけたりするので、莫大な宣伝費用かけて勝つ可能性はありそうですけどね。

話が逸れました。

さらに、成功が難しい一番の理由があります。それは中国が「社会主義国」ということです。ご存知の方も多いと思いますが、中国ではLINE、facebook、googleなど外資系企業が提供するサービスが使えません。その代わりに、微信、微博、百度など、中国企業が手掛けるサービスが発展しています。これはどういうことか。実際にLINEもfacebookもgoogleも、使えた時期はありました。けど、スケールが大きくなると、中国政府のコントロールが効きづらくなるため、サービス提供を停止させられます。そして、自分たちがコントロールしやすい中国法人のサービスが発展するように仕向けていきます。

せっかく費用とお金をかけてサービスを成長させても、最後は国によって止められてしまうんですね。これはつらい。。。

なので逆に言うと、名前は出しませんが今でも残っている日本企業が提供している中国人向けのサービスは、中国政府から見て「気にしなくてもいい存在」=「普通の中国人は利用していない」とも言えます。日本人もアホではないので、手を変え品を変え、数字を並べて自分たちのサービスがいかにすごいのかを日本のクライアントに売り込んでいますが、実際に周りの中国人10人でも20人でもいいので「知ってる?」と聞いてみてください。そのサービスは、きっと知りません。


文化の違いを肝に銘じるべし!

一方で、「中国人向けの商品を開発したい」という発想はどうでしょうか??
ここでは「中国大陸で現地の販売許可書を取って」という話ではなく、あくまで日本の中で「訪日中国人のお土産としての商品」という目線でお話しします。

まず結論から。よほどのことがない限り、基本的に売れません。

この理由は単純明快。「中国人向けに売っている商品なんて、悪いものに決まってる」「いいものは日本人向けに売って、悪いものを中国人に押し付けようとしているんだ」「偽物だから中国人に売ろうとしているんでしょ?」と、中国人は疑うのです。これは、偽物文化がまだまだ残っている中国人の根底の考え方です。普通に日本で生活をしていたら、この感覚ってなかなかないですよね?なので、売れません。

中国人が欲しいものは一言で言うと「日本人が普段買っているもの」です。なんだかんだ日本製神話は根強く、「日本人が使っている」=「安心・安全、質が高い」というイメージが強いんですね。

なので、商品の目線でお話をするのであれば、無理して中国に寄り添うのではなく、あくまで日本人向けに売れている商品をどうやって中国人にアピールするか、にお金と時間を費やしたほうが結果が出やすいです。間違いなく。

日本人としては「おもてなし」、と思っても、中国人からすると「余計なお世話」なんですね。

現場からは以上です!

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