見出し画像

アフターコロナでも留守番できますか?

自粛期間も終了し、トレーニングを行っているご家庭でも、出勤が始まったご家庭が増えてきました。そうすると、皆さんが口を揃えておっしゃるのが「留守にしていると犬が吠えるようになった」「留守にしている最中に犬が自分の脚を舐めて赤くなってしまった」・・・・一緒にいるときは平気なのに、留守中の問題です。

これらはすべて「分離不安」の兆候です。

1.分離不安とは

動物が愛着を感じている対象と離れたときに苦痛を伴ったストレス反応のことを指します。通常飼い主やそのご家族が外出したときなどに発生しやすいですが、一緒に暮らしている他のペットとの関係が深いときは、他の動物との間にも発生します。

具体的にどのようなことが観察されるかというと

■発生タイミング
・飼い主の外出
・飼い主が外出しようと準備をしているとき

■見られる問題行動
・不適切な場所での排泄
・破壊行動(飼い主の匂いがするものや出口・通路付近)
・自傷行為
・ずっと体をなめ続ける
・ずっと吠え続ける
・パンティングやよだれが止まらない

などです。これらの問題は、飼い主が不在になることがきっかけで、犬は不安になってしまっていることが原因です。

Tip
よく留守中にトイレを失敗するワンちゃんに対して、飼い主さんが「嫌がらせをしてるんだ」と話されることがありますが、基本的に犬の行動において、嫌がらせという概念はありません。犬が飼い主と離れることで不安になり、自律神経に問題が生じたと考えられています。


2.分離不安の見分け方

ただ分離不安かどうかを判断するときに気をつけないといけないのが、この問題行動が、飼い主と離れたときにだけ起こっているか、です。

例えば、留守中トイレシートを破いてしまうようなワンちゃんの場合、留守にしていても、していなくても、暇になるとトイレシートを破いていたら、飼い主との分離に関わる問題ではありませんね。長時間留守にする(監視の目が行き届かなくなる)ことで起きる問題と、分離不安の問題を区別するには、カメラを設置し、犬が留守中不安な様子があるか、ということを観察することも重要になってきます。


3.分離不安だと思ったらどうする?

もし分離不安に当てはまることがあったら、すぐにでも改善の計画を立てていくことが重要です。

■留守番には徐々に慣れさせる
もし留守にする時間をコントロールすることができるのであれば、少しずつ留守番の時間を伸ばしていくということをします。いきなり6時間もお留守番をさせるのではなく、数分単位から始めます。また、時間だけでなく距離も少しずつ始めていきます。最初は隣の部屋、次は玄関まで、玄関の外に出てみて、ちょっと先の門まで、コンビニまで、車で一周してみて、などと距離を出していきます。

■外出するときの準備に慣れさせる
多くの分離不安の犬は、飼い主が外出の準備を始めただけで大慌てになってしまいます。鍵を持ったり、バッグを持ったり、洋服を着替え始めたり。それだけでパニックになって吠え始めたりします。もしこういう様子が見られたら、この準備の過程にも慣れてもらいます。犬からすると、鍵を持つ=飼い主さんがいなくなる=不安という学習になってしまっているので、
鍵を持つ=ご飯の合図
鍵を持つ=散歩の合図
鍵を持つ=遊ぶ合図
などと、他の楽しいことと結びつけてあげたり、なんでもないときにも鍵を持つ動作を行うことで、「鍵=飼い主さんがいなくなる」の学習を消去していきます。

同時に、いつもの準備プロセスを変更することも重要ですね。準備は前日のうちにしておく、コートやバッグは玄関においておく、なんてことをすることで、犬にお出かけのサインをわからなくしていきます。

■出かけるとき、帰ってきたときの挨拶を最小限にする
犬にとって、飼い主と一緒にいるときと離れているときの気持ちのギャップが分離不安の原因となります。つまり、

飼い主が帰ってきて嬉しい!大好き大好き!

という興奮が大きすぎると、でかけている間の不安が一層強くなってしまいます。なので、できるだけ、出かけるとき、帰ってきたときに犬を興奮させないようにします。具体的には

【帰宅時の犬との挨拶の仕方】
※リビングのケージに犬がいる前提

・玄関のドアを開けてもすぐに犬のところに行かない
・手を洗ったり、洋服を着替えたり、リビング以外の部屋で自分の身の回りのことをする

------ここまでで10分------

・リビングに入っても犬に挨拶しない
・食事の支度をしたり、新聞を読んだり、ゆっくりする時間を作る

------ここまでで20分------

ここまでくると、犬はもう興奮していませんね?ケージの中でぴょんぴょんしていたり、吠えたりしてはいないと思います。そうしたら、ようやくケージを開けに行って、ただいまと言ってあげましょう。ただし、ここで触りすぎて興奮させてはいけません。すっとケージを開けて、静かに自由時間を楽しませてあげます。

Tip
20分経っても興奮が収まらないようであれば、落ち着くまで同じ工程を繰り返し、落ち着くまで何分かかるか確認しましょう。通常興奮状態は10分程度しか持続しませんが、落ち着くまでに30分以上かかる場合は、別の要因も考えられます。専門家にもご相談ください。


4.分離不安の改善の難しさ

今回のコロナによる自粛で分離に関わる問題を持ったワンちゃんに関するご相談が一気に増えました。今まで分離不安の傾向が見えていたものの、一緒にいる時間が長くなったことで、深刻化してしまっています。自傷行為や吠えが続くなどの深刻な症状の場合、専門家にも相談することをおすすめしますが、まだそこまでいっていないという方は、ぜひ分離不安にさせないために、お留守番のトレーニングをさせてみてください!




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?