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北斎の慌しい人生から長寿社会の生き方を思う

森アーツセンターギャラリーで開催されている『新・北斎展  ~HOKUSAI UPDATED』へ。

人生の変遷と作風の変化に触れることが好きだし、北斎の作品をじっくり見たことが無かったよなぁと思ったのが足を運ぶことになったきっかけ。

「世界でもっとも知られる日本の芸術家のひとり」であると言われる葛飾北斎。六本木という土地柄もあるけれど、外国人ツーリスト方が会場には多くおられた。

生涯の作品をクロニクル的に展示するのが今回の新・北斎展。展示監修を務めた永田生慈氏は北斎研究のため、作品の収集をライフワークとして行ってきてその数は2000件を超える。2017年に故郷の島根県にこれらを寄贈し、氏の遺志によって今後は島根県のみで公開されることとなったために、彼のコレクションを東京で見ることができる最後の機会になるそう。

富嶽三十六景はもちろん、鎌倉景勝図巻や東海道五十三次(吉野屋版)も展示され、ヨコハマや神奈川も登場するのが嬉しいところ。
<※以前、金沢八景と北斎の関係についてはコチラのエントリに書きました。>

47歳で馬琴に寄宿するが52で絶縁。75歳までに56回、84歳までに60回、89歳まで93回の引っ越しをしたという、安定を嫌った人生だったのだ。また晩年の80歳以降は、作品に年齢を記したそう。
『人々の暮らし』から始まり、季節の移ろい、一日の時間の変化や一瞬の動きから、動物、植物へと変わったモチーフ。そして最晩年は肉筆中心へと表現方法が変わっていた。安定を嫌いながら生きているかぎり常に変化と成長を求める姿が、多くの作品から伝わってきた。


46歳にして「葛飾」姓を名乗った北斎。
年齢を重ねても死ぬまで変化し続けることが出来るということは、長寿化する現代社会で大きなメッセージになっているように感じた展示でした。



"ヨコハマ良いよなあ"、"SUPやってみたいなあ"と感じていただけたら嬉しいです。いろいろありますが、みなさまにとっての毎日が「タフで優しい」時間でありますように。