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【詩】会いに行く

来た

訊こえたでしょう


毎晩なんだ

前の路を通る

とっても静かな


足音


姿は見たこと無いよ


だって怖いもの

夜にどこかへ行く人


怖いでしょう


だから僕は窓を開けることが

出来ないんだ


その人が、こっちを見たら……。


想像してみて


けれど実は

あることを計画してるんだ


知りたい?

そうだね、知りたいよね

でも、ちょっとだけ待って


ドキドキしたら、喉が渇いたよ


     ふう

     コーラが大好きなんだ



  そうそう、計画のことだった


  さっき話した通り、僕は怖い

  だけど、興味がある


  だから計画を立てたんだ


  “誰か”の、後をつけてく

  どこに行ってるのか知りたい


ばれないように、少し離れて

後をつけてくんだ


    明日がその日

    実行に移す日



その夜も 訊こえてきた

僕は大きな樹に

隠れて待ってた

足音が小さくなってく


僕は“誰か”の小さな姿を見て


距離をとって

あとをついていく

風と海の音が聴こえる


どこまで行くんだろう

そう思っていたら


“誰か”は坂を登りだした

僕は判った

“誰か”の目指すところ

それは


坂を登ったところにある

灯台だって


  “誰か”は 灯台を見上げると

  何か話しているようだ


  時々“誰か”の笑い声がした


そうなんだ

灯台は“誰か”の友達だったんだ


たぶん たった一人の


   僕は帰ることにした

   歩いてる間ずっと

   泣いてしまった


ビックバード!

部屋に入るなり

僕は叫んだ

ぬいぐるみのビックバードを

抱きしめて


キミは僕の友達だ

僕にはキミしか

友達はいない

クラス中が僕のこと

仲間外れにするんだ


  “誰か”もきっと同じなんだ

  灯台だけが“誰か”の友達で


だから毎晩“誰か”は

会いに行くんだ

友達と 一言も話さないまま

眠るのは それは

すごく寂しいって

僕は 知ってる


 ビックバード 一緒に寝てくれて

 ありがとう

 キミが居なかったら僕

 どうなっていただろう



僕は ビックバードを抱いて

ベットに入る

毎晩 毎晩


 僕の寝息を訊きながら

 ビックバードは小さな涙を流す


そのことを

知らないまま


僕は 大きくなって行く


      FiN








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