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ずっと見ていた
ボクには入れない世界だというこ
よく判っていたよ
それでもキミのこと遠くからでも見て
たくて
きっとキモいと云われるだろう、けど
なんて思われてもボクは構わない
ただずっとキミを見ていられれば
そでいい
「最近はピザの宅配も頼めるんだってね」
「みたいね。ここみたいな海岸にも、花火大会の会場にも届けてくれるらしいよ」
「便利になったってことか?」
「う〜ん、どうなんだろう、アッ!サンドイッチ隠して守!」
トンビが食べ物を狙って襲って来る。
私の頭をかすめて行った。
「油断も隙もないな」
守が死守したサンドイッチを頬張りながら話す。
「子供の頃には無かったのにな」
「知恵が付いたんだ。きっと最初にトンビに食べ物をあげた人がいるはず」
「せっかくいい景色を見てるのに、これじゃあ落ち着かないね」
「移動するか」
「仕方ないね」
![画像1](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/83985566/picture_pc_15f9e19c7e09d3d97ea5974dbb0fbfff.jpeg)
ピーロロロロ
「のどかなんだけどね〜」
さっきまで、大勢の人でいっぱいだった
海岸も、ポツポツと帰り始めた。
夕凪
「風花、これから何処に行こうか」
「まだ時間も早いし、守は行きたいところある?」
「あるよ」
「それならちょうどいいじゃない、そこに行こうよ」
守は動かない。
「どうしたの、行かないの?」
「俺はまだ、どこに行くかは云ってないよ」
「守が行きないなら私は構わないもの」
彼は少し怒ったような顔をしてる。
私はどうしたらいいのかさっぱり判らない。
強く風が吹いて守も私も髪が狂ったように散らばっている
まだ守が怒っているのは確かだった
ハッキリ云えばいいじゃない、それを1人で不貞腐れて、子供みたい!
痺れを切らした私は歩き出した。
「1人で怒ってれば!じゃあね」
「ホテル!」
私は立ち止まり、ゆっくり振り返った。
守が見たことのない真剣な顔をして
私を見てる。
![画像2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/83988741/picture_pc_2eb9c3f69389a3bcf99e41f7ad13dfd7.jpeg)
「……クリームあんみつを食べに行こう」
「……」
「その後なら行くから」
守は黙ったままだ。
けれど表現は柔らいでいた。
私の隣に走って来た守は笑顔になっている。
19歳と18歳の私と守。
早いか遅いかはどうでもいい。
比較するから可笑しくなるのよ。
![画像3](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/83988983/picture_pc_26027d8b4c9ec6fb0c1c9ff982647d57.jpeg)
……そうなんだ
寂しいかって?
少しはね
ずっと見てきたからさ
風花は最高の飼い主だったんだよ
また猫に生まれて風花と一緒に居たい
ありがとう、風花。
ボクも帰ることにする。
たくさん仲間たちがいる空に、帰るね。
「ん?」
「どうした」
「何が私の頭をサ〜と掠めたみたい」
「何かってなにが」
「なんだか、とっても暖かくて懐かしい何か」
「そうか」
![画像4](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/83989296/picture_pc_892f13750c974bdab6084570664bdff4.jpeg)
ずっと見ていたんだよ、ボク
了
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