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【詩】 ずっと

ずっとだ

貴女は毎晩、泣くようになった

だからボクは、その涙を

ずっと、見つめてる


毎晩、貴女の泣き声が

灯りを着けない部屋の空気と

混ざり合い

静かに溶ける




ボクはいつまででも

貴女が泣き止むまで

傍で聴いてる


アイツのせいだ

ボクの大切な貴女のことを

こんなにも傷付けた


アイツは嘘をついた

「愛してる。ずっと一緒だよ」

何百回も口にしただろう


貴女は信じた

そして心を許した


なのにアイツは


ある日、貴女の視界から

消えた……


貴女はそれでも、信じることを

やめなかった

やめられなかった


やめてしまったら

アイツが消えたことも

ずっと一緒だよの言葉の嘘も


真実になってしまうから

だから貴女は

信じなきゃ

現実にしない為に

信じ続けなきゃ


そう自分に云い聞かせた


だけど

時間は流れてしまう

それを止めることは出来ない


貴女が信じることを

諦める時が来てしまった


それからずっと

貴女は泣いている

ボクはずっと

貴女の傍で涙を見てる

泣き声を聴いている



ボクにとって貴女は

この世で一番大切で

一番大好きな


かけがえのない人


だから貴女の為なら

どんなことでも

ボクはやる

命が尽きても



愛されたことなどなかった

愛なんて知らなかった

公園の茂みに隠れて

ボクは生きてきた


そんなボクのことを

貴女は抱きしめた


何が起きたのか

ボクは混乱して

爪を立てるのも忘れてた


暖かい部屋

もう凍えなくても済むのだろうか


食べる物の心配は

もうしなくていいの?


暑さで渇いてばかりいたノド

ここにはいつでも

透明で新鮮な水がある


大好き

愛してるよ

ずっとずっと安心していいからね


貴女はボクに愛をくれる

ボクも貴女に愛を伝える

愛がなんなのか

知ることが出来た


だから、だから!

ボクはアイツを許さない

貴女が許しても


ボクは貴女の為ならば

貴女が悲しい涙を流さなくなる

その為なら

一生アイツを憎み続ける

ボクが死ぬ、その時まで

ずっと ずっと許さない


突然、体がふわっとした


「心配させてごめんね。もう泣かないから。安心して平気だからね」


貴女はボクを抱き締めて

そう云ったんだ


なんでだろう

なんでなんだろう


今度はボクの目から

涙が溢れたんだ


      FiN




















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