1日1建築 ⑨「上勝ゼロ・ウェイストセンター」
✅ 「上勝ゼロ・ウェイストセンター」
中村 拓志 / 徳島 上勝町
✅ リサイクルで生み出す建築
徳島県の町の一つ、上勝町。高齢化率は50%以上と過疎が進む四国一小さい町。料理をいろどる"つまもの"として出荷する「葉っぱビジネス」の町として知られる。高齢者や女性達が手先で扱える葉っぱによって雇用を生み出し、町民が生き生きとしたことで、後期高齢者の医療費は県内平均を大きく下回るなど、産業福祉の好循環を作り出した。また、2003年には日本で初めて「ゼロ・ウェイスト宣言」を行い、2018年にはSDGs未来都市の1つに選定された。ゼロ・ウェイスト宣言により現在は45分別になっており、再資源化率は80%を超えている。
その背景には、購入したばかりの小型焼却炉をダイオキシンの問題により処分せざるを得なくなり、新たな焼却炉に支出する財政的な余裕がないという切実な事情もあったという。そこで町民と話し合いを重ねた結果、生ごみはコンポストを利用して各家庭で堆肥化したり、町が一体となってゴミを向き合い始めた。そんな街の、ごみ集積所、リサイクルショップ、そして体験型ホテルを有するこの建物。民説明会や町の広報誌を通じ特定の廃棄物を募集した。その結果、人口1500人を割る町で約700枚の建具や廃材が集まりその建具を使って二重サッシのような大きな窓となっている。
小さな町から始まる小さな活動。日本らしい各地でユニークでクリエイティブなことが生まれる代名詞のような取り組みだ。
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