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1日1建築 ⑩ 「弘前れんが倉庫美術館」

✅ 弘前れんが倉庫美術館

田根剛 / 青森 弘前市


✅ 特徴


同館は、国内で初めてシードルが生産された「吉野町煉瓦倉庫」(2015年7月より弘前市が所有)を芸術文化施設として改修・整備したもの。煉瓦建造物の耐震性能を高めつつ、今あるものを可能な限り残した「記憶の継承」と「風景の再生」をコンセプトにもつ建築空間では、その魅力を最大限に生かした国内外の先進的なアートや、弘前そして東北地域の歴史・文化と向き合う同時代の作品も収集し展示する。



✅ 菱葺屋根

昔は民家や神社仏閣、洋館などの屋根によく見られた菱葺。しかし最近では菱葺の新しい建物を見かけることはほとんどなくなり、歴史的建造物として保存されている建物がほとんどです。

それぞれの鉄板に加工を施し、1枚ずつビスで貼り付けていく菱葺は高度な技術が必要とされ、熟練の職人にだけ許された工法でした。また、手間と時間がとてもかかるため、その分コストもかさみます。機械化が進んだ現代では、菱葺を修理できる職人がほとんどいないため、敬遠される工法となってしまったのです。


現在の職人の人員・技術不足は、職人に能力に見合うお金を支払ってこなかった慣習と、高度経済成長によって質よりも量を優先してしまったことにある。

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さらに、この場所でかつてシードルを生産していたことから、老朽化した屋根を「シードル・ゴールド」カラーのチタン製の菱葺(ひしぶき)屋根に再生。光によって微妙に変化する色合いや光沢は、煉瓦倉庫の新しい象徴となっている。


屋根がどうなっているかを見ようとする人は、多くはないがそこにも芸術性やストーリーを込めるのが建築家なのだろう

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