【エッセイ】オードブル
食に関する諸々を何点か。
ふと帰り道に住宅の換気扇から夕飯の匂いが漏れ出る時がある。
それがカレーだったりすると、良い一日の終わりだなあ、なんて思いを馳せたりする。
日常の断片を垣間見るというか。
今日も帰り道に夕飯の匂いが漂ってきた。
ステーキだった。
めちゃくちゃステーキの匂いだった。
エンゲル係数高そうだった。
牡蠣醤油。この万能調味料に救われた夜が何度もある。卵かけご飯に使うのがまずおすすめ。卵をかけただけの白飯が至高の食へと変貌する。焼き魚にかけても合う。魚が苦手でも美味しく頂けるのだ。何より炒めもので使われた時のポテンシャルの高さ。大体どんな肉や野菜でも一定の質になる。神の調味料。
自分には何の権利も権力もないけれど、阿闍梨餅を考えた人には何らかの賞を与えたい。
味が最早大発明。
分量の采配が天才のそれ。
ミルクボーイのコーンフレークとか空気階段の火事とかを見た時のような。
才能だけでなく作り手の血の滲む努力を感じさせる。
圧倒的な強度。
そもそも、もう闍(じゃ)が強い。
帰るべき家がない人にも帰れた家に帰れない人にも家に帰りたくない人にも帰れる家が何軒もある人にも、等しく平等に不二家のホームパイはホーム感を提供してくれる。ほのかな甘さが私たちにお帰りと話してくれるようだ。帰る場所なんてなくたって私たちは生きていける。ホームパイの甘さが灯火となる。
高級生食パン「乃がみ」の紙袋。
あるだけで高級感が伝わってくる。
心なしか良い香りもする。
顔面を袋の中に突っ込めば禁忌に咽ぶ快楽の園。
たぶん普通の食パンも「乃がみ」の紙袋に突っ込んでおけば勝手に高級生食パンになるのではないだろうか。
超熟が乃がみに進化。
ネオソフトとかも入れてみようか
コンビニで至高のドーナツ「フレンチクルーラー」が10個入りということで購入した。
一つ取り出す。 フレンチ、クルーラー。 中身を見て見る。
フレンチ、クルー、ラー。 食べてみる。 フ、フレンチ、クル、クルー、ラー。 いや、違う。
ヤング、ドーナツ。
デカめのヤングドーナツだ!
ヤングドーナツでした。
おい。
ナイススティック。
お前だよ。
お前。
なあ、ナイススティック。
なんでこんなおちょけた名前で今の今までやってこれたんだ、お前は。
競争の激しいパン業界で生き残り、なんなら根強いファンを生み出している。
日本語に訳せば、良い、棒。
良い棒がどうして令和の時代に生きているんだ。
教えてくれ。
これだけ食のことを考え、愛しているのに、食の方からは一切愛されていない。
香薫サイド、ひいてはお食事サイドからも愛されたい。
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