「憧れの木のお風呂」をかなえるハーフユニットバス
お盆を過ぎても厳しい残暑が続きますね。
汗ばむ季節は朝、晩、そして休日は昼間も
シャワーを浴びることが多いのではないでしょうか。
夏場はたびたび利用するバスルームですが、季節を問わず「お風呂でゆっくりくつろぎたい」と望む人には、家づくりやリノベーションでの優先順位が高くなります。
そんなお風呂好きが一度は憧れる、板張りの「木の浴室」。
でも「費用がすごくかかりそう」「手入れが大変そう」という理由でシステムバス(ユニットバス)を選ぶケースがあるかもしれません。
そこで、ハーフユニットバスを使った木の浴室をご紹介します。
「ハーフユニットバス」とは、浴槽と洗い場の下半分がユニット化されているもの。天井と壁の上半分は自由に施工できるので、板などの仕上げ材を張ったり、窓を好みの位置や大きさに設けることができます。
▲ 画像:『TOTO ハーフバス08 カタログ』より。素材はFRP製
現場でイチからつくるフルオーダーの在来工法の浴室に比べて工期と費用が抑えられ、特に2階以上にバスルームを設ける場合は、防水性能を担保できる工業製品としての安心感もあります。
システムバスも機能的でいいけれど、自分好みのデザインや仕上げ材、シャワー水栓などにこだわりたいなら、ハーフユニットバスを選択肢に入れるのもアリだと思います。
このハーフユニットバスを使った木の浴室を定番にしている建築家のひとりが、リオタデザインの関本竜太さん。下の写真は関本さん設計の住宅見学会で撮影したバスルームです。
ハーフユニットバスは TOTO 製。壁には水や湿気に強いヒノキ板を張り、天井にはより幅の狭いヒノキ小幅板ですっきりと仕上げています。
浴槽は半身浴もできるステップ付き。シャワー水栓、照明器具なども好みの機種を選べます。
浴槽にもたれると、窓の手前にあるダウンライトからの光で水面がきらめく様子が楽しめるとか。浴室の明かりを消し、隣の脱衣室から洩れるほのかな光だけで入浴するのも、くつろげていい感じだそうです。
また、長年の設計経験からハーフユニットバスと木の壁の間はタイル仕上げにし、水はねなどで木の板が傷むのを防いでいます。
▲ 上から壁のヒノキ板、タイル、ハーフユニットバス部分。ヒノキ板とタイルの間にはアルミ製の見切り材が入っています。板の下を透かせることで、板を空気に触れさせ乾燥しやすくしているそうです
ところで気になるメンテナンスですが、いくら水に強いヒノキといっても長時間水に触れていたり、湿度が高い状態だと傷んだりカビが生えたりします。そこで、天井に設置した換気扇と窓による換気で湿気を排出。入浴後はそのつど木部の水気を拭き取れば理想的です。
でも、家族みんなが1日に何回もシャワーを浴びる季節はそうも言ってられないよね…ということで、関本さんは下記のような工夫をしています。
①木の壁に水をはじくセラミックコーティングを施し、拭き取る手間を省く
②傷みやすい出入り口の木製引き戸は、湿気を吸い上げにくい部材の組み方にする
②の「湿気を吸い上げにくい部材の組み方」はちょっと分かりにくいので、写真でご説明しましょう。
▲ 木製引き戸の天井側(写真上)は部材のコーナーを垂直に組んでいますが、水に触れやすい床側(写真下)は湿気を吸い上げにくい45度の角度に組んでいます(見えにくいので赤線を入れました)
これらのポイントを聞いて驚かされました。ハーフユニットバスを使って木の浴室を設計する建築家は大勢いますが、ここまでメンテナンスに配慮している方は少ないのでは。同じ設計を依頼するなら、こうした住む人への気配りが行き届いた建築家にお願いしたいものですね。
現在、ハーフユニットバスを扱っているメーカーは数社ですが、在来工法に比べて費用を抑えながら木のお風呂をかなえられるのは大きなメリットだと思います。
温かな木目と香りに包まれたバスルームで、湯船に浸かった瞬間、思わず「あ~」と至福のため息をもらす…。そんな皆さまの幸せなバスタイムを応援しています。
★リオタデザイン
https://www.riotadesign.com/
ハーフユニットバスの取り扱いメーカー(一般向け)
TOTO
https://jp.toto.com/products/bath/halfbath/
サンワカンパニー
https://www.sanwacompany.co.jp/shop/series/S1146/
日比野化学工業
http://hibinokagaku.jp/%e8%a3%bd%e5%93%81/%E3%83%8F%E3%83%BC%E3%83%95%E3%83%A6%E3%83%8B%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%90%E3%82%B9
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