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マーケターはお見合いおばさん

生業として、マーケターと名乗っている。

マーケティング理論に精通しているわけでもないし、私より優れたマーケターさんはいくらでもいる。
だから、マーケティングについて書くなんて、おこがましいにも程があるのだが、私の話をもっと聞きたい、noteに書いてほしいと言ってくれる人たちに向けて書くことにした。

よく褒めてもらえるのは、わかりやすいこと。

例えば、仕事上多くの人が多少の経理の知識は必要だけれど、みんなが簿記一級を持っている必要がないように、マーケティングも今の時代多少の知識はあった方がいいが、みんながみんな難しいことを知っている必要はない。だから、クライアントや知人友人など、マーケティングのプロである必要がない人たちに、どうしたら共通言語として成立する程度の理解をしてもらえるかをいつも考えているからかもしれない。

それに実際マーケティングって難しく聞こえるだけで難しいことではないと思っている。
いや、本当は、簡単に見えることこそ奥が深いので、やればやるほど簡単ではないのだが。

マーケティングのプロではない人に向けて
マーケティングやブランディングについて
あくまで私の解釈で、わかりやすく書いていくこと。

これをこのnoteの目的としたい。
マーケターは24時間365日見るもの聞くもの触れるもの全てがインプット。興味があることは多いし、ビジネスに限らず自分のアンテナに引っ掛かって思考することはどこかマーケティングの視点が入っているだろうから、マーケティング以外のことも書くことになると思う。

1回目は、私の考えるマーケティングについて説明したい。


マーケティングって何?とよく聞かれる。

ここに、とても良い商品・サービスがある。一方でそれを欲しいと思うだろうけれど、自力で探せない人たちがいる。両者を結びつける行為がマーケティング
それをやる人=マーケターはお見合いおばさん、と説明している。

商品(以後、サービス他も含んで「商品」と言う)がどんなに良いものでも、その価値や買える場所がわからなければ買ってはもらえない。そもそも商品として成立していなければいけない。
価値の話をすると、機能的価値(スペック)の高さだけを伝えても、必要なら買ってくれるが心は打たない。ググられ、比較サイトで比べられて判断される。もっとニーズに合うものが出たら捨てられるかメルカリで売られる。その商品がどういう心理的満足(優越感や喜びを感じられる等)をもたらしてくれるかという情緒的価値がわかると、買ってもらえる確率は上がる。更に、手に入れたら暮らしや生き方がどう変わるか、どんな良いことがあるのかを想像できるかできないかで、払ってくれる対価は変わる。
機能的価値はわかりやすいが、情緒的価値や、自分や社会をどう変えるかという本質的な可能性は、提供する側にも見えていないことが多々ある。
その価値を丁寧に紐解いて、誰が一番必要としてくれるかを見極め、商品として作り上げ、伝え、届け、長期的な関係を構築していく。
その一連の行為なのだ。

例えば、目の前に、あまり身なりに気を使わず、話し上手でもなく、少々さえない独身男性がいたとする。でも、よくよく話してみると、誠実で思いやりがあって、わかりにくいけれどとても良い個性を持っている。
そうなると、お節介なお見合いおばさんは放っておけない。
たくさん人を見てきているからわかってしまうのだ。この人は本当は魅力的、磨けば光るって。そして、見えにくくなっている本来の魅力をどうやったらうまく引き出せるか考え始めてしまう。
そりゃね、少しは自分を変えてもらわなきゃいけない。でも、変えるのは本人の本質的な価値ではない。ちょっとした気づきで外見的なことは変わる。
自分の魅力に自信を持ってもらえるよう、良いところを褒め、良さが伝わるように身だしなみのアドバイスをし、そういう男性を探している女性と引き合わせ、本人が伝えきれない彼の良さをアピールしてしまう。
商品コンセプトをしっかりと設定し、コンセプトをネーミングやパッケージ、広告で表現するというのは、そういうこと。
ただかっこよくすればいいってものでもない。

価値のないものを価値があるように見せたり、いらない人にうまいこと言って押し付けるのは、本当のマーケティングではないと考えている。
一度は売れても、すぐにいらなくなるのでは、サステナブルではないし、お互いが不幸だ。
不幸な結婚生活ではなく、共に相手の存在によってハッピーになる幸せな結婚を作るのがマーケティング。
両者が真に喜んでくれるのがこちらにとっても何よりの喜び。

マーケティングにはいろいろな考え方があって、人によって言うことが違うし、それで良いと思う。
ただ、私の考えるマーケティングの根本の精神はこういうことである。



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