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田舎の子育てあれこれ

田舎の子育てには「胆力」が必要だ。
どんな胆力かといえば、比較されても動揺しないし落ち込まない、そんなもの。

我が家の三人兄妹は、どの子もそれぞれ10人のクラス。
先輩も後輩もあったもんではなくって、言わば同じ釜の飯を食べた同胞。兄弟のようなもの。

生まれたときから知っているその子たちで形成される10人の世界。
狭い狭い、十人十色の世界。
30人いれば埋もれたであろう個性も、グンと突出してしまう。

そう、突出して「しまう」のだ。
個性を発揮しろ、なんていうけれど、発揮したくない個性だってあろうに。
自分が大衆に埋没していることに安心することだってあるのだ。
でもこの小さな世界では、それを望もうが望まないが、明らかな違いが目についてしまう。

彼らが小さなうちは、そんな世界で大人たちに見守られながらすくすく成長してくれることが嬉しかったし、ありがたいとも思った。

でも子どもたちだけでこっそり寄り道したり、買い食いできるような場所もない。
どの子の親同士もみんなご近所さんで知らない顔はない。
子どもたちはいつも誰かに見られ、その姿を干渉されている。
長男が思春期になってそんなことをふと思ってしまうことも増えた。

これは、田舎の子育てがしんどい、という話ではまったくない。
自然のなかで十分に遊んで、安心できる環境のなかで見守られながら子育てできるのは、田舎ならではだと思う。
でもその一方で、移住した当時(2012年移住)はメリットしかないと思っていた田舎での子育ても、子どもたちの年齢と共に見えてくる新しい側面があることを知るようになった、という話。

当然だけど、どの選択にも都合のいいことばかりではない。
それでも、いろんな問題を孕んでいてもそれを超える喜びがあるからこそ、私たちは今、この里山で暮らしているのだと思う。

さぁ、早く子どもたちを広い世界へと手放してあげなくちゃ。
長男はもうすぐ13歳。
町内に高校はないけれど、片道一時間半かけて隣町へ通学するという選択肢は今のところ、ない。

ということは、外の世界へ出るしかない。
人から受け取った温かさと優しさ、
自然から学んだ楽しさと厳しさ、
この小さな世界で培った力を、広い世界でのチャレンジに活かしてほしい。

いよいよ春からは中学二年生。
人生の選択肢をたくさんたくさん見せてあげたいと思う。

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