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あの日、黙って家を出た。 握っていたのは、実家の両親からもらった封筒に入った1万円だった。 2階から、足音を立てずにそっと階段を下りて、静かに静かに玄関の外に出た。 台所の引き戸は締まっていて、中ではおかあさんと、お姉ちゃんが夕食の 支度をしていた。 あの台所から漏れる光をみると、あの台所から漏れ聞こえる声を聞くと、 息が苦しくなった。 いつも深呼吸して、あの引き戸を開けていたけど。 開けることを選ばなくてもいいんじゃないか。 もう、開けなくてもいいんじゃな