医療者がウィメンズヘルスを学ぶ上で、注意したいこと
知識との向き合い方に、留意すべき分野。
こんにちは。
理学療法士19年目のyokoです。
これは、患者さんと理学療法士(PT)の「より良い20分」を創るために、あれこれ考えるブログです。
当院でも、最近の流れを汲んで、ウィメンズヘルスに関する知識をもっと深めようと言うことで、半年ほど前にウィメンズヘルスのワーキンググループ(WG)が作られました。
上からの指示で、このWGに入ることになった3年目のAさん。いそいそと勉強しているところを話しかけ、「最近ウィメンズヘルスWGの進歩状況どうよ?」と聞いてみました。
すると
「実はあんまりWGの目的がはっきりしないんですよね。
とりあえず知識をまとめたり、女性の患者さんにアンケートを取ったりはしているんですけど。
今後どう進めていくのか、イマイチはっきりしないんです。ぶっちゃけ勉強のモチベーションが上がらないですね。」
と正直に話してくれました。
ウィメンズヘルスは社会的な女性の権利や就労環境、身体の変化まで、女性がよりよい人生をおくるための概念です。
大変幅が広く、理学療法士としてどのように取り組んでいけばいいのか、逆に難しい分野なのかもしれません。
今回、私なりにウィメンズヘルスがどうあるべきか考える出来事があったので、記事にしたいと思います。
皮膚科受診で思う。これがウィメンズヘルスなの?
最近ずいぶんと手荒れをするので、皮膚科に行ってみました。
1回目の受診では保湿剤とステロイドを処方されたのですが、なかなかすっきり治らないので、先日もう一度受診をしました。
主治医の先生は女性で60代後半くらい。
前回の処方ではなかなか良くならなかったことを伝えると、おもむろに
あなた玄米食べる?
お酢は好き?
花粉症はある?
と質問攻めにしたあと
じゃあ検査しましょう。
ちょっと高いけど4500円!
と言われました。
ん???
話の流れから「先生、私の手荒れはアレルギーと関係があるかもしれないってことですか?」と聞きました。
すると
「当たり前じゃない!更年期近くなって来れば、女性ホルモンが減ってアレルギー体質がより強く爆発してくるのよ!」
そんなこともわからないの?と言った様子で、語気強めた返答が返ってきました。
半ば反射的に、「検査は次でいいです」と伝え診察室を出ました。
お忙しかったのか、私の聞き方が悪かったのか、色々な要因が考えられますが、ひとまずそれはさておき。。
患者として感じた違和感の正体
先生が言いたかったのは、
加齢による女性の身体の変化が考えられる。また今後それはさらに強くなる可能性がある。
言ってしまえば、それまでかもしれません。
しかし、女性の体がこういった形で変化するという知識を、急に目の前に突きつけられたことで、どこか投げ出されたような、変化を認めるよう強制されたような印象を受けました。
女性はそういうもの!と決めつけられたような違和感がありました。
ウィメンズヘルスの知識は諸刃の剣。二面性を持つことに気をつけよう。
この時、先日Aさんと話した、ウィメンズヘルスはどうあるべきなのか?と言う話が頭をついて出てきました。
本来、女性がよりよく生きるためのウィメンズヘルス。
知識を頭に入れておく事は大事ですが、その知識をどう使うのか、どう伝えるのかに心を砕く分野なのではないかと思います。
人類の歴史の5000年のうち、女性の世界的な権利が認められるようになってまだ60年程度しか経っていません。
急速に社会権利が認められ、社会進出が促されたために、女性自身は、未だどう生きたらいいのか、模索したりあがいたりしているのではないでしょうか。
女性がよりよく生きていくために、女性特有の体の変化も考えながら、社会全体でサポートしていこうというのが、ウィメンズヘルスのおおもとです。
女性の人生は多様。
しかも社会的に求められるようになって、まだまだ歴史が浅い。
だからこそ、正解はないと言う前提で、
目の前の女性が何を大事に生きてきて、
どんな人生を送りたくて、
PTにどんなサポートができるのか?
一緒に考えるために知識を使う。
知識という枠の中に女性を押し込んで、それを納得させるためのものでは無いはずです。
過去に、女性は家で家庭を守るもの、という枠に押しこんできたことと、本質的に変わりません。(前者は知識から、後者は慣習からのくる思考停止)
ウィメンズヘルスの知識は、女性を自由にする一方で、押し込んでしまう一面もはらんでいます。
その二面性を理解した上で、答えのない問題の答えを出すために使う。
そういったスタンスでウィメンズヘルスと向かい合いたいなー、と感じました。
まぁPTとして手は商売道具なんで、やっぱり来週アレルギー検査するかなぁ。。(* ̄∇ ̄*)
明日も良い20分を作り出しましょう!
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