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整形外科の理学療法士こそ、神経の評価をしよう!

こんにちは
理学療法士19年目のyokoです。
 
これは、患者さんと理学療法士(PT)の「より良い20分」を創るために、あれこれ考えるブログです。
 
先日、認定PT講習会にて、認定PT(運動器)を目指す方々に「末梢神経障害の理学療法」
というお題で講義をしてきました。
 
産休中にもらったこのお題。
寝ぼけた頭を叩き起こすには、十分すぎる課題でした。
さてさて、上司への恨み節はこれくらいにして。笑

神経の知識、自信ありますか?


認定PTとは、日本理学療法士協会が設定した資格です。
その分野に特化した一定量の経験を持ち、指定研修などで知識をブラッシュアップしており、かつテストに合格したPTに資格が与えられます。
 
今回私が担当したのは、運動器の認定理学療法士を目指すPTに向けた指定研修の1コマ(90分)です。
 
経験が5年から20年目くらいのPTに対して講義をするのですが、初めに神経についての知識の自信を聞いて見ました。
すると、ほとんどの方が「ぶっちゃけ自信がない、でも勉強はしないといけないと思っている」と答えました。
 
実は講義の前に同僚に「神経って臨床中にちゃんと見る?」と聞いたら「だいぶ自信ないけど、そのまま経験年数重ねちゃって、なかなか聞けなくなっちゃった」と返答が返ってきました。
これがリアルな感想なんだと思います。
 
当院の場合、末梢神経由来の運動麻痺の患者さんを持つ機会は1年に1回あるかないか、なので、その時に末梢神経についての知識を引っ張り出してくるのでは、なかなか定着しません。
 
会場の皆さんからも、見る機会が少ないので、なかなか覚えられない、という意見が多く聞かれました。

神経の知識が定着すると、臨床が変わる。


しかし、末梢神経障害は運動麻痺だけでしょうか?
日頃見る腰の患者さんの痺れや、肩の患者さんが訴える手にかけての冷たい感じ、なども神経が影響しています。
もっと言えば痛みも末梢神経が伝えています。
痛み止めの薬も、神経に作用して効果が出ます。
筋肉だって、神経が働いて初めて機能します。
 
末梢神経障害を「運動障害が出てしまった疾患」のように狭く捉えてはいないでしょうか?
実は整形外科にとって、末梢神経はとても身近なものなのです。
 
今回はそれをもとに
「末梢神経をより身近な疾患として伝え、神経の知識をいろいろな患者さんで使ってみよう。知識をアウトプットして自分の臨床に定着させていこう。」という話をしてきました。
 
知識は使わなければ忘れていきます。
疾患を見る機会が少なければ、知識を再学習しても忘れてしまい、自分の臨床と結びついていかないのです。
 
なるべく、身近に。そして高頻度で末梢神経を評価する。
この視点を得たことで、私は臨床の質を底上げできた印象があります。
 

神経の評価にはPTの強みが詰まってる!



なぜ、整形外科のPTが末梢神経を見る必要があるのか?
診察で医師も見てるんだから、敢えてPTが見る必要がないのでは?
そう考える方もいるかもしれません。
 
しかし私が神経の評価を大事にするのは
「そこにPTの強みが詰まっているから」
そして「PTの存在価値を上げることができるから」です。
 
PTにあって医師にないもの。
それは、患者さんと過ごせる時間です。
1回での治療の時間は、診察であれば通常5−6分ですが、リハビリは最低20分取れます。
頻度も主治医診察よりはPTの方が圧倒的に多いです。
 
このような環境で、PTはより丁寧に、高頻度に患者さんの神経評価を行うことができます。
そして、何か異変があれば、いち早く主治医に報告ができます。
実際、私が医師に「異変」として伝える情報の多くは、神経評価によるものです。
「ありがとう!ちゃんと見れていなかったから助かった!」
と喜んでもらえます。
 

なぜ喜んでくれるのか?

それは神経の異常(特に筋力低下)は、医師が手術適応として重要視している評価の一つだからです。

神経症状が出て、時間が経つほど、筋萎縮やオーバーユースの影響で予後が悪くなります。

そのため、筋力低下が進行した時は、神経を除圧する手術の適応と考える医師が多いのです。
しかし、医師が物理的に毎回丁寧に見ることは難しい。
先生たちは忙しいから。時間が限られているから。

早く見つけるほど、医師も患者さんも早い段階から治療に入ることができるので、双方にメリットがあります。
 
そこをわかってPTが意識的に評価を行うことは、非常に意味があるのです。
 
今回の講義で、少しでもこの熱が伝わってくれたらいいな〜。
 
認定PTを目指す方々が無事試験に合格できることを、心よりお祈りしております!

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