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ES作成支援は「道」であり「表現」

キャリコン人生の中心軸

日本にはいろんな「道」がある。
ちょうど今、支援しているアスリートは柔道部。つまり「柔の道」だ。
スポーツなら他にも「剣道」「空手道」「合気道」がある。
一方で「茶道」「華道」「書道」といった、芸術に通じるものもある。

私は新聞記者からキャリアコンサルタントに転身してまもなく丸12年を迎えるが、ことES添削に関しては、私自身にとって「道」そのものかもしれないと感じている。この12年間を振り返ると、私のキャリアコンサルタント人生の中心軸に「ES作成支援」がドンと位置している。

そもそもキャリアコンサルタントに転身する時に、新聞記者の経験が活かせるなんて思いもしなかった。記者時代は、記事の配置を考え、見出しをつける「整理部」と、スポーツの現場を取材する「運動部」の経験しかなく、文章をチェックするデスクの経験もなかった。何より実は記事を書くのが下手すぎて、いつもデスクに怒られていたのだ。だから私が文章の書き方とかを誰かに教えるなんてありえないと切り捨てていたし、世に出せるスキルだとも考えていなかった。

それが、縁あって応募したハローワークの面接で、当時の所長から「むねさんは新聞記者の経験もあるから、学生に文章の書き方をアドバイスできるのではないでしょうか。長く文章を書いてきたのは、大きな武器になりますよ」などとおだてられて、その気になってしまった。実際に現場に出てみると、もっと文章が書けたら魅力が伝わるのではないか、という学生があふれていて、「何とかしたい」という思いに変わっていった。

面談から講座への広がり

この「何とかしたい」という思いは、振り返ると自分自身の自己効力感を上げるためエサだったと思うが、ただひたすらに学生の応募書類の作成支援に励む結果となった。その数はどれぐらいだろうか。12年弱でのべ10000人はくだらないと思う。昨日も大学でカウンセラー仲間が終わっていないESを横取りして、添削に励んでいたほどだ。もはや変態の域にきている。

最初は1対1の面談で作成支援をしてきたが、次第に「学生側が楽に文章を書ける方法はあるのではないか?」と考えるようになった。それがハローワークや大学などで、講座やセミナーを開催するきっかけとなった。いろんな人と対話しながら、あるいは書籍を参考にしながら、さらには学生に対する自分の質問パターンを観察しながら、体系化し、形にしていった。現在、インターンシップや就職活動に関して文章を書く講座に登壇するときは、それがベースになっている。

もちろん、研鑽も忘れない。企業と契約して、「エントリーシートアドバイスサービス」のスタッフをすることもある。添削とアドバイスの違いなど企業側のマニュアルを踏まえつつ、学生にアドバイスを送る。少額かもしれないがお金をいただき、フィードバックももらえる。現在、担当している業務だと、他のメンバーのアドバイス文章やフィードバックも参考にさせてもらえるので、実に学びになる。

同時に、自己理解を深めるようにしている。年齢がかさむにつれ、学生に対して「何でこんなことすらできないのだろうか」という思いが湧くことが生まれてくる。仕方がない。こちらが1歳、年を重ねると、相手は1歳若返るから、「幼いなあ」と感じずにはいられない。だとしても、それが実は自分の内側に持つ価値観だと気づかないケースも多い。自分はいったい、どんな痛みがあり、本当の願いは何かを改めて見つめ直すことで、目の前の学生に対しても「今、こう思っているんですね」とあるがままを受け止められるようになる。

美しさを覚える多様な個性

なぜ、ここまでES作成支援にはまってしまったのだろうか。ふと、我に返って考えることがある。まず、記者業で培ったスキルが、存分に活かせるからだというのは間違いない。新聞記者稼業は読ませる記事を、指定された分量で書き上げる必要がある。ESの多くが400字の文字数と限りがあり、この中に過不足ない内容で収めるのは、お手の物とも言える。

しかし面白さを感じるのは、別にある。実は、その人一人ひとりの個性が多様で、本当に一人として同じ人間がいないと感じさせられるからだ。当たり前のことかもしれないが、毎回毎回、その個別性の高さに驚かされる。

私は面倒くさがりなので、ESの作成支援で学生にする質問をある程度、固定している。だから多くの学生に同じような質問をしているが、出てくる回答が全くといっていいほど違うのだ。

例えば「あなたが学生時代に力を入れたことは?」と聞くと、「コンビニエンスストアのアルバイト」「サークル活動」「ゼミナール活動」などが返ってくるが、さらに「その中で一番頑張ったことは?」と聞くと、また違う答えが返ってくる。似ている傾向はあったとしても、細部を見ると全く違うのだ。

この多様性こそ美しく、一人ひとりの可能性を無限に感じてしまう。何よりキャリアコンサルタントとしてクライエントの自己理解の支援に当たるうえで、相手の内政や言語化を進めるのにESの作成支援は大きな力となる。支援のファーストステップに位置付けているからこそ、

ちなみに学生が一人で書き込めるようなシートも作った。とにかく私自身が根がものぐさで、私が話を聞かずとも、このシートを書いてきてもらったらかなり面談時間が削減されるのではないか?という邪(よこしま)な考えからだ。しかしながら実際に作ってみるとやっぱり便利で、面談や講座を繰り返すたびに、微調整をしながら今に至っている。

こうやって、こと「ES作成支援」への思いだけでも、2000字以上も淡々と書けてしまうあたり、やっぱり自分にとっては「道」であり、「表現」の一環なんだと思う今日この頃。この表現してきた取り組みを、今後も綴っていけたらと思う。

8月27日に「ES作成支援の集い」

そして、キャリアコンサルタントで学生支援をしている方向けに、8月27日(土)にES作成支援の集いをオンラインで開催する予定です。内容は未定ですが、もしよかったら空けておいてくださいね。


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