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昭和を探して

世界各国の物書きによるリレーエッセイ企画「日本にいないエッセイストクラブ」。今回のテーマは「日本の恋しいもの」。インドネシア在住の武部がお送りします。ハッシュタグは #日本にいないエッセイストクラブ 、ぜひメンバー以外の方もお気軽にご参加ください。過去のラインナップは随時まとめてあるマガジンをご覧ください。

 私はジャカルタに住み始めてかれこれえーっと、27年になる。タクシー運転手などに「インドネシア語できるんですね!もう長いんですか?!」と聞かれるたびに、これまでは律儀に20年以上です、と答えていたのだが、最近ではもう「子供の時から住んでいます」と言うことにしている。私はけっこう心が狭いので、「20年以上住んでいる」→「ああ、通りでインドネシア語お上手ですね!」と言われるのは非常に気に食わない。20年住んでたって、勉強しなきゃできるようにはならないんだよ。けっ。と、心の中で悪態をつく。その点、「子供の頃から」だったら「ああ、通りで」と言われてもなんだか許せてしまうのだ。

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 実際のところ、27年前、私はすでに大人であった。少なくとも年齢的には。私が子供だったのは、1970年~80年代。バリバリの昭和である。住まいは、産まれてすぐが渋谷区笹塚、そのあとすぐ江東区、幼稚園から神奈川県相模原市、小学4年生(?)からは大和市。ちなみに父が鳥取県米子市出身なので、毎年お盆の時期には米子のおばあちゃんちに行っていた。現在両親が住んでいるのは神奈川県だけれどまた別の市で、まあ私にはふるさとというほどふるさとふるさとしたふるさとがないわけなんだけど、やっぱりなんとなく神奈川と鳥取はちょっとひいきしたい気持ちが常にある。

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 そんな私が一番郷愁を感じるのは、やっぱり「昭和」という時代かもしれない。時々訪れる東京や横浜の町並みは、もはや知っているようで知らない場所なんだけど、そこここに残る「昭和」の匂いが好きだ。

いとおしいダサさ。
憎めないバカバカしさ。
ちょっとドキドキするいかがわしさ。
意味不明の脱力感。
ちゃんとしないとおじいちゃんやおばあちゃんに怒られちゃうスリル感。

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 ひんやりした夕暮れ時、早く家に帰らないとと心細い思いを抱えながらガード下で一杯、また一杯。来年あたりにはまたそれができることを願ってやまない。
 ただのおっさんか私は。

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 前回走者はアルゼンチンののろけ名人奥川駿平さん。

 はやまと言えば神奈川っ子の私にしてみれば御用邸のある葉山、昭和っ子の私に言わせればペギー葉山なんですが!全然違うはやまのからあげ。おいしそうだよ、食べたいよ!まあ、「日本の恋しいもの」ってやっぱりなんだかんだ食べ物ですよね。ジャカルタにはおいしい日本食もいーっぱいあるけれど、やっぱりどうしても満たせないニーズというものがあります。ビワとかぶどうとか桃とかカブとかあわわわわ(自爆)。

 次の走者は、同じおっさんの香りをビンビン感じる(失礼w)、ベルリン酒場探検隊久保田由紀さん

 「合理的判断がされているとは思えない要請」…。まったく。今の日本は、無邪気に恋しい一方で、あまりにもお粗末すぎて情けない気持ちにさせられることも多々。
なにはともあれ。
今日本に帰国されている久保田さんが果たしてどういうアプローチで書かれるのか、お楽しみに!



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