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内田樹氏講演会をコロナの今振り返る

久しぶりにnoteを更新しようとしたら、2月初めの下書きが放置されていました。
少しタイミングずれていますが、改めて思うことあったので、アップします。

2月のnoteーーーーーーーーーー

内田樹氏の講演会に行ってきました。

内田氏は、「日本辺境論」でガツンと頭を殴られてからのファンです。とはいえ信者というほどではなく。
しかし、折々にふと思い立ち内田氏のブログを覗くと、凝り固まった頭をほぐしてくれたり、行き詰まりを切り開く示唆をいただいたり、困った時に都合よく「なんかモヤモヤしますー」と相談できる、メンターのように思っていました。

内田氏はテレビ出演はもとより、講演もあまりなさらない方ですので、「目の前で生きて話しているウチダ氏」を見る機会を逃してなるものかと、前のめりで申し込みました。
講演内容よりも、どんな声で、どんな立ち居ふるまいをされるのか、同じ場にいてどう感じるのか、それにたいへん興味がありました。

この講演会は、近著「そのうちなんとかなるだろう」のPRイベントで、中高生の団体主催でした。
会場には学生さんと、年配の方が半々くらい。
「学生向けイベントだから、後ろにひっそり座ろう…」
と、殊勝な心がけで当日朝を迎えましたが、年配の方が多かったので遠慮せず、一番前に陣取りました。
おばさんになってよかった。

ウチダ氏は、想像どおりどっしりした体躯の方でしたが、不思議なほど威圧感がなく。ろうろうと語るというよりは、とつとつと。言葉が自然に流れるに任せるような、好ましいお話の仕方でした。

講演で、素敵だと思ったことをいくつか。

・今の日本の息苦しさは自己統一性の呪い

・入試の自己PRでは部活の話が多いが、PRしているのは、好きなことに熱中したということではなく、「どれだけ自分が辛いことに耐えたか」

・就活でも苦役耐性や無意味耐性をアピールする。残念ながら、それが社会で成功することだと思われている

・適職は、英語ではvocationやcalling。自ら探し求めるのではなく、外から呼ばれて出会うもの

・助けを求める人のたまたま近くにいて手助けした、人から頼まれた、そんなことの積み重ねがいつの間にかキャリアを作る

最後は、
「呪いは無視して、もっとゆったりとして、五感を磨いて、呼びかけをうけとればよい。そのうちなんとかなる」
という、ゆるやかで温かい励ましをいただきました。

現在、新入社員研修を担当しています。
私は無意味耐性がたいへん低く、「組織人としての正しいふるまい」が身についていないので、兵役逃れの反戦主義者が新兵教育をしているような感じですが、それでもまあ、やれることはあるなと。

そして人生初めて、本にサインをもらいました!
よい日。

ーーーーーーーーーーここまで

さて、今。

コロナで世界が変わり、リモートで働いたり、家で家族と過ごす中で、「これまで普通にしてたけど、実はしなくていいんじゃない?」というものが明らかになってきました。
ここで書いた「苦役耐性、無意味耐性」がもとめられることも減っていけばいいな、と心から思います。というか、率先して減らしていきます。反戦主義者として。

そして、新入社員研修も終わりました。
直前にフルリモート研修になり、いつ配属できるか先の見えない二ヶ月間、なんとか乗り切りました。

出社できない不安をもらす新入社員たちには、「あなたたちはオンラインネイティブだから」と、励ましてきました。
今は、むしろ無意味が跋扈するオフラインの仕事を知らないことが、アドバンテージなのではないかとすら思います。

呪いよりも、祝福と感謝を。
新入社員は、
「オンライン研修、みんな協力してくれてありがとう」
「きっと大丈夫」
と言って送り出しました。

新しい時代、一緒に築いていこうね!

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