せいやんの不格好な包丁 その1(全3回)


今日はね、お料理に使う包丁のお話しさ。よく切れる包丁があるから、お野菜もお魚もフルーツも美味しく食べることができるよね。

ポンと昔。今から500年も前のことだよ。戦国時代、豊臣秀吉(とよとみひでよし)が日本中をまとめていた頃のことさ。最初はね、タバコの包丁といってね。タバコの葉っぱを刻む(きざむ)ための包丁を作っていたんだって。この頃から、タバコはあったんだね。葉っぱを細かく切るためには、よく切れる包丁が必要だったんだね。包丁作りの名人には、秀吉から可愛いがられた長兵衛(ちょうべえ)とか、石を割るほどの、すごい包丁を作った、
梅枝七郎右衛門(うめがえしちろうえもん)という人たちがいたんだよ。最初にタバコ包丁を作った人たちさ。それからいろんな形の包丁が作られるようになっていったよ。長四角のものや、先が尖っているもの、大きいのやら小さいもの、かっこいいものや不格好ものまで、いろいろさ。そして、お野菜やお魚なんかも切るようになっていったんだね。

そして明治時代に入ってからのことだよ。大阪府の堺の山之上(やまのうえ)というところには、いくつもの包丁作りの鍛冶屋(かじや)さんがあったんだって。その中の一つに、せいやん、と呼ばれている刃物鍛冶(はものかじ)職人がいたのさ。せいやんは、いい人だったけれど、おでこは出っ張っているし、鼻はまんまるブタさんのようで、おまけに歯は前にすっごく突き出ていたんだって。イケメンじゃなかったんだね。せいやんは自分の顔がいやだったから、いつも下を向いていたんだ。あんまり仕事仲間たちとも話をしなかったんだ。黙々(もくもく)と包丁作りに精を出していたんだって。

今日はここまで。読んでくれて、ありがとう。
明日からは、せいやんの大活躍が始まるよ。
お休み、ポン!

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