牛若丸(うしわかまる)君にインタビューできました。その2(全3回)


ポン!昨日の続きだよ。

お父上の名前を{知らない}と言ったらね、{若様、あなた様のお父上は、源氏の御大将、源義朝(みなもとのよしとも)さまでございますよ}と言うではないか。僕が産まれたころ、源氏と平氏とで平治の乱(へいじのらん)という大きな戦いがあって、その時に父上は平清盛(たらのきよもり)に討たれて亡くなられたってことを知ったんだ。ぼくは決めた。お父上の仇(かたき)を取ろうってね。平家の平清盛(たいらのきよもり)を討ち取ってやるんだってね。それからさ、夜になるとずっと山の奥の僧正谷(そうじょうがたに)の貴船明神(きふねみょうじん)まで行って剣のけいこをしたんだ。鞍馬山(くらまやま)に住む天狗たちから教えてもらっていたのさ。その頃ね、都の五条橋に刀を盗む鬼が出るという話を聞いたんだ。これは面白いと思ったよ。剣には自信がついてきたころだったから、腕試しでもしてみようと思ったのさ。鞍馬山を降りて都へ行ってみたんだ。それは、月の良いきれいな夏の晩だったよ。僕はね、腹巻をして、その上に白い直垂(ひたたれ)を着て、そして黄金作り(こがねつくり)の刀を腰に差して、笛を吹きながら五条の橋の方へ歩いて行ってみたんだ。噂どおり橋の真ん中にそれは大きな男が立っていた。黒糸縅(くろいとおどしの)鎧(よろい)の上に、墨染めの衣を着て、白い頭巾(ずきん)をかぶり、薙刀(なぎなた)を杖について、橋の真ん中に立っていたよ。{そこを、のいてはもらえまいか}僕は、笛を吹くのをやめて静かに言った。{その刀をこちらへ渡せ、ならばどいてやろう}と大きな声で男は言うんだ。{なら、欲しければ取ったらよかろう}僕は、がっとその男の目を見て言ったのさ。

今日はここまで、また明日。ポン!

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