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悪源太義平(あくげんたよしひら)の最後の一矢(その5 全6回)

「矢を!矢をもてえ!」
経遠が矢を射れというけれど、義平は群衆の中深くへと切り込んでいるから、矢を射るにもうまくいかない。義平は敵を切りながら背中を塀に向けて後ずさりしていったんだよ。義平のイシキリが血油にぬめって切れ味がにぶってきたからね。
「それっ!」
義平は身ごなし軽くへいに手をかけると向こうの路地へと飛び越えていったんだ。
「逃すな、おえぇ!」
経遠が声をからしてどなっていたよ。けれど300騎は塀の中で右往左往していたのさ。
けれど残されたロクロウは生け捕りにされてしまった。そして清盛の前に引き出されていったんだ。
「悪源太を逃がしたとは悔しい。そうじゃ。こいつをおとりにせい。処刑する時刻と場所を町人に伝えよ。悪源太め、助けに来るやもしれぬでな」
三日後、ロクロウは六条河原へ引き出されてられる事になった。その時間が迫って来ていた。敷物の上に座ったロクロウは、覚悟は決まって落ち着いていたよ。竹矢来たけやらいの中の警備と外には大勢の人たちがいたよ。だれもみなきっと悪源太義平がろくろうを助けにくるだろうと期待していたんだ。でもなんの変わったこともなかった。
「お覚悟はよろしいか」
「覚悟はとうに定まっておる。シウチロクロウカゲスミ、源氏の郎党の末座につらなる者なり。大将軍清盛殿を敵にして打たるるはほんもう。この命、露塵つゆちりほどもしくはない。即打たれよ」

今日はここまで、読んでくれてありがとう!さあさあ、義平はスーパーマンみたいに現れるかな!?お休み、ポン!

#日本史 #平安時代 #源義平

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