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虎御石(その1 全3回)

埼玉県上尾あげお市にの相頓寺そうとんじにある『虎御石とらごいし』と言う大きな石碑せきひに伝わるお話だよ。
ポンと昔。昔昔のことだったよ。今の上尾市のあたりに長者の一人娘として、それは美しい娘があったんだ。名前を虎といったんだよ。
14歳になった虎さんは、色は白くて黒髪は長く、しとやかだったんだ。このことは遠くの村にまでもきこえていたんだよ。
「どうじゃな、虎さんをお嫁さんにもらえませぬか?家には田んぼも畑もありますでな」
「家はお殿様の親戚じゃから、きれいな着物もたくさんありましてな、どうですか?この着物を着せてやってくだされ」
「向こうの村の長者様からぜひお嫁にと頼まれましてな」
なんてたくさんの人たちがやって来ていたんだ。
虎さんはその人たちにお茶を出すたびに
「これはこれは、美しい姫様よ」
と言われて、もっとお誘いの話がくるようになってしまったんだ。
「虎さん、これはおいしい川魚です。どうぞ召し上がってください」
「虎さん、どうです?きれいな花でしょう。かざってくだされ」
「都まで行ってきましたのでどうぞこのお着物を受け取ってくだされ」
なあんてつぎつぎと若者たちが虎さんの所へとやって来たんだ。
プレゼントだらけさ。虎さんはいろんな人たちからプレゼントをもらってばかりいるとね、
日に日に悩んでしまうようになったんだ。
「くださる物をお断りもできませんし。この身は一つ。どのようにみなさんにお返しをしたらよろしいのでしょうか?お一人と決めましたなら、他の方たちに申し訳なく・・・。どうすることもできませぬ」
そう言ってふさぐようになってしまったんだ。

今日はここまで、読んでくれてありがとう!続きは明日のお楽しみ!お休み、ポン!

#伝説 #昔話 #埼玉県

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