八郎太郎が作った十和田湖 その1(全2回)



ポンと昔。
青森県と秋田県との間に十和田湖(とわだこ)という湖があるんだ。湖の面は鏡のように澄んでいてね。遠く見える山々を映していてね、とっても美しいって。

うーんとうーんと昔のお話だよ。八甲田山という山の近くに八郎太郎(はちろうたろう)という若者がいたんだよ。生まれた時から体が大きくて、しかも力持ちでね。12歳になると、もう背の高さが6尺もあった。1尺が30cmくらいだから、180cmもあったんだね。大きいね。八郎太郎はお父さんお母さんを助けてよくお家の手伝いをしていたんだ。昔のことだからね。水を汲みに行ったり、薪(たきぎ)を見つけたり、谷川まで下りてお魚を釣ってきたりしていたんだね。

ある日、八郎太郎は近所の友達二人と、ちょっと遠い八甲田山の奥の方まで入って行ったんだ。そこらはまだ誰も入ったことがないような所だった。八郎太郎が谷川の水の中を見ると、たくさんの大きなイワナがいたんだって。イワナっていうお魚は、山奥の綺麗な水にしか住んでいないんだよ。お昼には、このイワナを焼いて友達と一緒に食べようと思ってね。川の中に入って獲ったんだ。でも、どうしたわけか、あんなにいたイワナだったのに、たった3匹しか獲れなかったんだ。八郎太郎は火を熾して友達を待っていたんだ。いい匂いだ。
「皆な遅いな、美味しそうだ。ひとつ食べてみるか」
八郎太郎は一匹を食べてみたらね、その美味しいこと美味しいこと。あっという間に食べてしまった。

今日はここまで、また明日。ポン!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?