霧の中の関ヶ原 その2(全4回)


謀反(むほん)とはね、家来が自分のお殿さまをやっつけることだよ。景勝(かげかつ)は慌てて謀反の気持ちなどありませんと言ってはきたけれど、もう遅かったのさ。ということで、秀吉に長く仕えていた加藤清正(かとうきよまさ)や福島正則(ふくしままさのり)、山内一豊(やまのうちかずとよ)と、豊臣軍の有名な武将たちが、徳川家康と一緒に会津へと向かって行ったんだ。そうさ、秀吉の跡継ぎの秀頼(ひでより)さまをお守りするために行ったんだよ。家康はね、こうしてお城を空けておけば、きっと三成(みつなり)は攻めてくるだろうと予想をしていたんだ。そしたら、堂々と豊臣軍を討てると思ったんだね。これが、7月のことだったよ。そうさ、家康の作戦だったということさ。そうして、栃木県の小山(おやま)に着いた時のことさ。家康のところに知らせが届いたよ。
「石田三成がお城に家康がいなくなったのをみて、武将たちのお嫁さんを人質のために誘拐して戦いのために動き出した」
というじゃないか。家康はね、自分の読み通りに事は運んでいると胸の中で喜んでいたよ。そして、この知らせのことを一緒に来ていた武将たちに伝えたんだ。そうしてね、
「ここから引き返して石田三成を討ちに行くが、ここには豊臣の昔ながらの家来たちも多くいる。どちらに付くとも自由にするがよい」
そういったんだ。加藤清正や福島正則たちは、石田三成が大嫌いだった。リーダーが三成と聞いて、すぐに家康に味方することに決めてしまったんだ。そうとも、豊臣軍の家来だった武将たちが秀吉の跡継ぎの秀頼さまのことなれば、お助けしたいと思っていたはずだったのに、家康の味方になんとなくなっちゃった。仲間たちの豊臣軍を敵にすることになっちゃった。戦いの時の作戦とはね、罠(わな)をしかけることだけじゃあないんだ。こうして人の気持ちまでをも罠にかけていくんだ。これが家康のすごい作戦の力って訳なんだ。

今日はここまで。
徳川家康の罠って、奥が深いね。
読んでくれてありがとう。
明日も楽しみにね、ポン!

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