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悪源太義平(あくげんたよしひら)の最後の一矢(その3 全6回)

京都はね六波羅の清盛ていを真ん中にして、りっぱな屋敷が立ち並んでいたよ。どの屋敷も神殿のようで、庭には水を引いたり、大きな池があったりしていたんだ。
「六波羅邸とは清盛邸の事で、あの館にございます。それからあちらは・・・」
とろくろうは六波羅を義平に案内していったんだ。
夕食になって二人は長屋へと帰って来たよ。人前ではロクロウが主人、義平が下人としてふるまっていたけれど、だれもいなくなれば、上座には義平が座ってロクロウが家来としてつかえていたんだ。
「むさくるしい所へ源氏の若殿をお迎えするとは、まことにおそれおおく、心苦しゅうことでございます」
「いずれ源氏の世にしてみせようぞ。な、ロクロウよ」
「その日を楽しみにしております」
少ないご飯しかなかったけど、それでも、義平には多くよそおって汁物と青菜をそえて、自分は少しのご飯だけで我慢していたんだ。
そこへ、たまたま大家さんが家賃を取りにきたんだよ。そして、聞くともなく二人の話が耳に入ってきちゃったんだ。大家さんはこっそり障子の隙間から中をのぞき見して驚いた。
主人のはずのロクロウが下座に座って昼間は下人としてつかえている男が上座にいるじゃないか。
「うーむ、これは大金おおがねが手に入るやもしれぬぞ。ロクロウが元源氏の者と噂に聞いたことがある。都に悪源太が戻って清盛様の首を狙っているといううわさも良く聞く。こうして見れば見るほどあの男は凡人ではなかろう。するとあの男はもしや・・・へへへ」

今日はここまで、読んでくれてありがとう!義平たちどうなっちゃうんだろう?気になるね!お休み、ポン!

#日本史 #平安時代 #源義平

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