日本三霊山の背比べ その1(全2回)



昔々のことじゃよ。山の神様、権現様どおしが話をしたんじゃと。
越中(今の富山県)の立山の立山権現様と、加賀の国(今の石川県)の白山の白山権現様と駿河の国(今の静岡県)の富士権現様とがな、どちらが背が高いかって話しをしたんじゃと。どちらも同じくらいだったからな。それじゃあ比べっこしてみようってことになってなあ。

最初はな、立山と白山に樋を架け渡したんだと。そんで水を流してみたんじゃよ。立山の村人たちは立山を応援してな。白山の村人たちは白山を応援したんじゃよ。水はな、そろそろと立山の方に流れていったんじゃ。立山の方が低いってわけよなあ。立山の村人たちは慌ててな、片貝川から石を拾ってきてな、樋の下に入れたんじゃよ。そしたら、水が動かなくなってな。それならもう一つと石を積んで入れてみたんじゃよ。水はな、とろとろと白山の方へと流れていったんじゃと。
「わいわい、立山の方が背が高いぞ高いぞ」
立山の神様、立山権現様と立山の村人たちは手をたたいて喜んだんじゃよ。背が低くなってしまった白山の村人たちも負けてはいなかったんじゃ。早速草鞋(ぞうり)を脱いでひとつ樋の下に入れたんじゃよ。

今日はここまで。また、明日。

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