悪源太義平(あくげんたよしひら)の最後の一矢(その2 全6回)
「ほお、この都の賑やかさはどうだ。清盛のいる六波羅には何十もの護衛兵たちがいる。これでは忍び寄ることもできぬ。何か良い方法はあるまいか」
2月半ばのある日。義平は大勢の人たちといっしょに、六波羅の門の所に何台も到着してくる牛車を見ていたんだよ。
「源太義平さまではござりませぬか」
と、義平の耳元でささやく者があってびっくりしたよ。
「御安堵めされませ。シウチロクロウカゲスミにございます」
「おお、シウチ、ロクロウ、カゲスミ」
このロクロウは義平のお父さん義朝の家来だったんだ。ロクロウは義平を自分の住んでいる長屋へと案内したよ。ロクロウはね、源氏が敗けてから源氏の身分を隠して平家の小物として働いていたんだ。
「それで、若殿が危険な都へとお戻りになられたのは何のためで?」
「知れたことよ。ただ一人にても平家を打たんとして清盛を狙おうと思っておるのじゃ。おごれるもの、必ず隙はあるはずじゃ。そじゃ、ロクロウよ。わしを家来にしてくれ。六波羅に近づくことができるやもしれぬ」
「いえいえ、若殿を家来になどとは恐れ多くできませぬ」
と言ったんだけれど、清盛を打つためというんで、義平はロクロウの下働きとして一緒にいることになったんだ。
今日はここまで、読んでくれてありがとう!義平のお話はまだまだ続くよ!お休み、ポン!
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