日本三霊山の背比べ その2(全2回)

そしたらな、水は動かなくなったんじゃよ。それならもう一つと草鞋を差し入れたんじゃよ。水はな、そろんそろんと立山の方へ流れていったんじゃ。
「うわぁ、うわぁ。白山の方が背が高くなったぞお」
白山の神様、白山権現様も村人たちも大喜びだったんじゃよ。
「これは、引き分けじゃのお」
「さようさよう、引き分けじゃのお」っと立山権現様と白山権現様は笑いながら言われたそうじゃ。

今度はな、白山と富士山が同じように背比べをしたんじゃよ。さっきと同じようにな。富士山と白山に樋を架けてな、水を流したんじゃよ。水はな、そろりそろりと流れていったんじゃよ。富士山の神様、富士権現様と村人たちは、こりゃ大変と藁靴(わらくつ)をな、ひとつ樋の下に差し入れたんじゃよ。水はな、とろーりとろーりと白山の方へ流れてい
ったんじゃと。

こんなことがあってからはな、立山に登る人は片貝川の石を持って登って頂上に積んで置いてくるようになったしな。白山に登ると人たちはな、頂上に草鞋を脱いで頂上に置いてきたんじゃよ。富士山に登った人でな、藁靴を見つけた者は幸せが授かると言われているんじゃと。

今はな、富士山白山立山の三つの山を日本三霊山と言われているんじゃて、富山県に伝わる民謡、小原節のお囃子の言葉には、越中で立山、加賀では白山、駿河の富士山、三国一だよ、と歌われているんだと。聞いてみたいね。大きくなったら山登りに連れていってもらおうか。

これでおしまい。さぁ、おやすみ。

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