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振袖火事(その3 全3回)

明暦3年1月18日お昼過ぎの2時ごろ、16歳の娘を亡くしてしまった3家族と一緒にね供養したんだよ。本妙寺の和尚さんはお経を読みながら境内に焚いた炎の中にその振袖を投げ入れたんだ。するとね、ゴーと風が吹いてきたかと思うと炎が燃え移った振袖が生きているかのように両袖を大きく広げてメラメラと燃えながら空中へ飛び上がって本妙寺の屋根に張り付いて行ったんだ。本妙寺に炎が燃え移るとバチバチと音を立てて燃え始めて行ったよ。和尚さんも家族の人たちも皆びっくりして屋根を見上げていたんだよ。するとその振袖はさっきとおんなじように両袖を大きく広げて燃えながら風に乗って高く空へと舞い上がったんだ。そうして風に乗って小石川の方へと飛んで行ったと言うんだよ。

次の日の夕方には麹町の方からまた火の手が上がったというからね。あの振袖が飛んで行ったとみんな思ったんだよ。

こんなわけでね『明暦の大火』のことを『振袖火事』と呼ぶようになったんだって。

怖ろしい目にあった人たちはその出来事を忘れず、未来の人たちが同じ過ちを繰り返さないために多くの教訓を残してくれているんだよ。このお話もそういうお話さ。昔話にはそういう意味があるので、こどもっぽいとか言わずにしっかりと読んでいこうね!

読んでくれてありがとう、ポン!

#江戸時代 #明暦の大火 #火の用心

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