宝塚温泉の由来(その1 全2回)

兵庫県の宝塚市に伝わるお話だよ。
ポンと昔。
今から460年も昔のこと。足利12代将軍義晴よしはるの時代のことだよ。
お花さんという女の人がいたんだ。とっても貧しくてほそぼそと暮らして居たんだよ。お花さんはもう何年も、毎日、近くの中山観音様にいつもお参りしていたんだよ。
「これ、またここにも、ツン、ツンとれ物の芽が出てきたわ。いたい!いたい!」
お花さんはある時から体中に腫れ物が出てくるようになってしまった。
お尻やもも裏や胸やお腹、腕にツンツンとした痛みがあるかと思えばそれは腫れ物の芽だった。
それはだんだんに膿を持って膨れてくる。
かっかと熱を持ってくるから、お花さんはぎゅっと膿を絞り出す。
いやな匂いとどろりとした液が出てくる。お花さんは痛くて苦しくてならなかったよ。その夜も体中の腫れ物が痛くて横になっていたんだよ。
すると枕元に1人のお坊様が現れたんだ。
「たちの悪い腫れ物で苦しんでいるようじゃな。どんな薬とて効目はあるまい。その痛みは前世の災いからきているのじゃ。お前は下女たちにひどいことをしたのじゃ。その下女たちの恨みがそうしてたたっているのだ。
だが、おまえは信心深い。その向こうの川の上にはハトガフチがある。そのかたわらに古い大柳が一本立っておる。その木の根本を掘ってみるがよい。清い水が湧き出る。それが、観音様の冷水じゃ。それを沸かして湯にし、入ってみるがよい」
そういうと、すうっと消えて行ったんだ。

今日はここまで、読んでくれてありがとう!続きは明日のお楽しみ!お休み、ポン!

#日本史 #室町時代

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