蜂須賀小六(はちすかころく)と秀吉(ひでよし)の墨俣(すのまた)の一夜城(いちやじょう)その1、全4回


ポンと昔。
戦国時代のことだよ。
織田信長(おだのぶなが)の家来だった豊臣秀吉(とよとみひでよし)は、あっという間に一夜にしてお城を作っちゃったっていう有名な墨俣(すのまた)一夜城のお話だよ。

お天気の気持ちいいその日、秀吉はね、清須城(きよすじょう)の町を出て、蜂須賀村(はちすかむら)へ行ったんだ。そこはね、砂っぽい土地だから、森の中に畑ばかりが続いていたよ。
「やぁ、小六(ころく)どの。お元気でしたかいのぉ。今日はどでかい夢をしょってきたんじゃ。小六どののお力なしじゃあできんのじゃ。これができたら小六どのも織田のお殿さまの仲間になれるのじゃよ。助けてくだされ。」
二人は木陰で座ったよ。秀吉はね、枯れ枝を一本手に取るとジリジリと地面に地図を描きだしたんだ。
「信長のお殿さまはのぉ、京都へ上洛(じょうらく)を考えておるのじゃ。それには、美濃(みの)を通って行かなくてはならぬ。もう何度も美濃の稲葉城(いなばじょう)を攻めておるのじゃが、追い返されてばかりじゃ。殿の清須城から稲葉城は6里(25キロ)もあるんじゃ。遠くてのぉ。攻めるも逃げるも遠すぎるのじゃ。われらの尾張(おわり)がこうある。この北側に美濃がこうある。美濃と尾張の間に流れているのが、墨俣川(すのまたがわ)じゃ。西美濃の安八郡(あんぱちごおり)はのぉ、稲葉城からも遠く、守りが薄いのじゃ。こうやって流れておる西美濃のここで、二つの川が合わさるんじゃ。ここの三角地が墨俣よ。ここにな、城を作るんじゃ。

今日はここまで、また明日。ポン!

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