タイムライン防災行動計画を実際の災害に当てはめてみる~台風編 その1

前回(タイムライン防災について)



タイムライン防災行動計画を実際の災害に当てはめてみる

 前回はタイムライン防災行動計画について触れました。
今回はタイムライン防災行動計画を実際の災害に当てはめて、どのように設定をしていけばよいか、そのポイントについて稚拙ながら記載させていただきたいと思います。

台風災害を想定したタイムライン防災行動計画

 前回も触れましたが、タイムライン防災行動計画は元々ニューヨーク州で計画されていたもので2012年に発生したハリケーン・サンディを契機に日本でも導入が進み始めました。
そのためタイムライン防災行動計画は、台風災害にとても当てはめやすい計画なのです。

台風発生からタイムライン防災行動計画に則って行動すべきか確認する

 昨今の観測技術とスーパーコンピューターの進歩により、素晴らしいことに台風の進路予測は一昔とは比較にならない程に正確になっています。
ですがやはり自然という物は人知に及ばぬもので、台風がもたらす風雨によって発生する線状降水帯など常に想定外のものを孕んでいます。
そのため、まず台風発生の一報があればその進路を確認し、もしあなたの所在地に上陸する想定がされているのであれば直ちにタイムライン防災行動計画を開始しましょう。

台風が所在地に来るとわかったら

 台風が所在地に来るとわかったらまず、その時間をゼロアワーとして覚えておきましょう。
タイムライン防災行動計画におけるゼロアワーとは、災害そのものが発災した時間を指します。
ゼロアワーまでに準備出来る行動は全て準備を完了させて発災に備える事を目指し、防災行動計画を立てていくのがタイムライン防災行動計画の基本です。

台風のゼロアワーまでにどんな準備をしておくべきなのか

 台風災害で特徴的なのは『暴風』と『豪雨』です。
また島しょ部や沿岸では台風の暴風に煽られて発生する『高潮』『波浪』も合わせて気を付けなければなりません。
これらは唐突に発生するわけではなく、台風に近づくにつれて次第に脅威度が増していきます。
従って

  • 浸水被害が発生する可能性がある箇所をハザードマップなどで確認。

  • 避難所への道程のチェック、避難所の開設・準備。

  • 浸水被害が想定される箇所へ事前避難の呼びかけ。

  • 浸水被害に対応するための施策(ゴムボートの準備や排水場の点検等)。

  • インフラ被害に備え、保存食糧、水、発電機等の生存に必要な物資の集積と点検。

これらを、台風が上陸する24時間前までに完了させておくことが肝要です。
警戒レベル3以上が発表されてからでは避難が手遅れになってしまう可能性もあります。

避難と警戒レベル

 警戒レベルは様々な災害で用いられる、自らの判断で避難行動を開始する基準として創設された5段階の指標です。
これらは各自治体や気象庁から発表された注意報や警報などの情報に基づいてレベルが定められています。

出典: 気象庁 防災気象情報をもとにとるべき行動と、相当する警戒レベルについて, https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/bosai/alertlevel.html

 ここで注目すべきは警戒レベル5は既に災害が発生している状況として設定されている、という点です。
警戒レベル5の段階で対象地域に所在する人は全員避難完了していなければなりません。
警戒レベル5が発令されてからでは遅いのです。

次回:その2

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