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私が考える多文化共生

(公財)横浜市国際交流協会(YOKE)では、2020年7月から小野﨑が理事長に就任、2021年4月から鈴木が事務局長に就任しました。YOKEが目指す「多文化共生」とは何かを小野﨑と鈴木のメッセージを通してみなさまにお伝えします。

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横浜市の在住外国人の人口が10万人を超えた今日、地域、職場、学校などの様々な場面において、外国人または外国につながる人々と日本人が一緒になることは、普通の光景になりつつあります。現在の状況になるずっと前から、横浜市においては、ボランティアの皆さんをはじめ先人たちのご努力により、外国人の方々を日本の社会のなかで受け入れ、サポートする体制が整えられてきました。しかし、いまだに、外国人と日本人の間、あるいは日本人コミュニティと外国人コミュニティの間で軋轢が生じることや心を痛めることが、しばしば起こっているのも事実です。その原因はいろいろ考えられますが、主に言葉の壁と心の壁にあると思っています。言語の壁については、学習することや便利な機器を使うことによって乗り越えることは可能かもしれません。一方で、心の壁をなくすことは容易ではありません。それは、無知ばかりでなく、偏見や、自分と同質でないものを排除しようとする気持ちなど、様々な要因があると考えています。
そうした障壁を取り払うには、まずは交流し、お互いのことを知り、コミュニケーションを図ることから始まると思っています。また、外国人の方を社会のなかで孤立させないことが重要であると思っています。外国人と日本人、外国人コミュニティと日本人コミュニティとの間にある障壁を取り除き、課題解決に向けてコーディネイトすること、それはYOKEの重要な役割であると認識しています。特に、子供たちは自分で問題を解決するすべを持っていません。自ら望んで日本に来たのではない子も多いと思います。そんな子供たちが、様々な問題を乗り越えて成長し、自分の将来に希望を持てるよう支援していきます。
 隣人である外国人と日本人があいさつを交わし、いざというときは助け合ったり、職場の同僚である外国人と日本人が同じ目標やタスクのために力をあわせたり、学校では日本人の子供たちと外国につながる子どもたちがお互いの国の文化を認め合い自らの出自を誇りに思える、そんなことが当たり前になる社会したい、そう思います。そのために、組織の力を結集してまいりますので、どうぞ関係者の皆様のお力添えをお願い申しあげます。

公益財団法人 横浜市国際交流協会 理事長 小野﨑 信之

事務局長

この夏、コロナ禍のもと開催された「東京2020大会」が幕を閉じました。この大会の基本コンセプトのひとつは「多様性と調和」。あらゆる面での違いを肯定し、自然に受け入れ、互いに認め合うことで社会は進歩していく、そしてこの大会を多様性と調和の重要性を改めて認識し、共生社会をはぐくむ契機とする、というメッセージが込められていました。
 この大会と時を同じくして急拡大した感染症は、私たちの生活や行動を一変させ、人と人のかかわり、つながりを断ち切りました。異なる人種を排斥するようなエスカレートした行動についての報道も見受けられました。隣近所の付き合いも、職場での昼休みも、以前のようなコミュニケーションがとりづらくなっています。気心が知れた人どうしならばともかく、初対面であったり付き合いの浅い人だと、距離をとったり言葉を交わさないという発想や行動に出てしまいがちです。同じ日本人どうしでさえ、このような中で、会話もままならない外国人の方々が身近に暮らし始めたら、距離を縮めることは難しいかもしれません。でも、お互いひとりでは生きていけません。ましてや感染症や災害が続くような世の中では、つながり助け合うことがこれまで以上に大切になっています。私たち一人ひとりが手の届く範囲で、人を思いやり、声をかけ、つながりを作ることが多文化共生の原点だと思います。
 市内には11の国際交流ラウンジが活動し、スタッフやボランティアによる通訳や相談、日本語教室、若者の学習支援など、地域に暮らす外国人や日本人のみなさまがつながり、支え合う身近な交流が生まれています。鶴見にある国際学生会館では、各国から集う留学生が地域と交流しながら、この国で学んでいます。最近は、対面の活動の多くがオンラインに置き換わっています。もちろん対面に勝るコミュニケーションはないと思いますが、安心と安全を確保しながらコミュニケーションの頻度を上げることで、私はオンラインのメリットも大いに感じるようになりました。
 「3日住めばハマっ子」という言葉は、多様性を柔軟に受け入れてきたこの横浜の地に住む人々の気質を表しています。この言葉のとおり、誰にとっても暮らしやすい横浜となるよう、YOKEはさまざまな活動を支え、多文化共生が誰にも身近なものとなるよう取り組んでまいります。ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。

公益財団法人 横浜市国際交流協会 事務局長 鈴木 一博

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