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【俳句】とける(50句)

ほしいだけ紫陽花が来る裏手から

曲がらないほうに体を曲げて滝

夏の雨重複する名前おぼえる

目にバナナあてている人のハンカチ

夏めいてキャップのつばをむしりたい

寝冷えした三人をまとめてたたむ

ちゃんとした薔薇じゃないので予後は不良

緑蔭の赤子にもはちみつはだめ

鯖の言うことはきれいで飾ってる

からっぽの夏期講座にみどりの先生

白玉と名乗れば茹でられてしまうよ

マシンガンつかってもなお花氷

香水のだれかを呼び追い払いたい

泉にはかならずあなたがいて誰か

だれもかれも茉莉花になり、なりおわる

椅子のかたちがわかっていく五月闇

夏の夜スプーン曲げる曲がらない

駅が遠くいつか若葉にかこまれる

四十雀それは頼んでないコーラ

ひらかない芍薬に祈らないでね

輪郭をたたかれるように夕立

朝焼にのこしたパンの歯形かな

立体に鮨をしてあげたくて積む

地下通路に熱帯魚がおおむね生きてる

見たことないくだものゼリー噛みごたえ

背中には四角い水をせおうプール

日の盛りクリームの山くずしてく

配電盤すきまから夏野が見える

枇杷を剥く火傷の指がやわらかい

かたいメロン食べてはつまらない将棋

水羊羹ばっかりの棚その下も

耐熱のカップにひびがあり花火

子をつれている知らない子夏の霧

停電で液体になる子と水着

子に浴衣与えぐにゃぐにゃしてしまう

その子よりこの子がいいなラムネこぼす

帰したら子のいない家こおりみず

夏の月先導されて水に入る

洗剤の香が手に残りシャーベット

残高をところてんに例えてわかる

あつい手にひきがえるが座って長い

背番号聞いてあかるく夏料理

フロントの番号が噴水で押す

金雀枝やゆるい病がなおらない

梅雨明けるボタンだらけのシャツ洗う

オムライス開く万緑にまかせて

青紫蘇を叩けばだれかやってくる

目の荒い笊さくらんぼ今朝のゆめ

油照愛するひとはいなくていい

おかえしとして紫陽花をもらい病む

ものを書くために使います。がんばって書くためにからあげを食べたりするのにも使うかもしれません。