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【短歌】春の夢(50首)

遠巻きに見ているキャンプファイヤーのキャンプといえばすべて許すの
屋根に乗るおどけたおじさんが消えても誰も探さなかった早春
ラーメンのにおいが鼻に残っている あなたのレゴを壊してしまう
暗幕のほつれ切れているくちびる夕焼なら盛り上がるってださい
グリーングリーンわたしの家が見下ろせるところに住んでなにがたのしい?
どこまでも円周率をいえるからBGMとしてきいててね
電球をたくさん吊るす喫茶店あなたがすべてにぶつかるように
それからは専門学校生としてひとのからだを曲げて暮らした
わたしたちこのままでいいのかなって洗剤を買い換えまくってる
みんながみんな花粉症ならそれでいい いいのか? ゆうべ、セルゲームした
あまい夜だったからスーパーフィクション暗幕の裏側で笑い声
はじまっている ピノがふた粒なくなってかわりに雪見だいふくがどん
協調があってそれには触れないよフランス料理みたいな料理
長い川だったそんなの知らなくてちょっと連れ添うだけのつもりで
側転をいつまでやっていくのかな東京に着いたらすごいなあ
声帯はひとつしかない春寒のお礼言わなくてはならない日
ポトフ わたしから言うぜんぶの破綻を、ひとりぼっちにさせないからね
ねむれない夜ねむらせるための声とっても非常ボタンが多い
寿司 つめたい こどもたち走り回って通夜のバターに
この道に桜があるって知っていた手首から先ときどきなくなる
スタンドバイミーのあらすじ書いて春はまだ続くのだろうボートの多さ
停電のようには夜はこないのでドリンクバーには野菜ジュースを
アジアってどこまでですか天井に映画をうつす機械を殴る
飛んでいくレジュメせんせいありえない先生はありえるよ言い直そうね
身から錆みたいに手から海老が出てぽんぽん揚げるわたも取らずに
春の夢てりやきチキンサンドから飛び出してくるてりやきチキン
ぽわぽわの静電気はかわいいなって思うエディプス・コンプレックス
おてがみを書くよ書いたら捨てちゃうよ届いたか聞くからうなずいて 
実感のないままユー・エフ・オーに乗る 喉以外にも仏いるでしょ
変装をして学校に行ってみる英語の発音がすこしよくなる
アキレス腱以外の腱をしらなくてアキレス腱ばっかり伸ばしてる
泳いでる浅いプールでほんとうに浅くて花びらがうごめいて
手をあげてあてられなくてまたあげるミートボールが丸くあること
夜明けまでここでねむっていいですかあなたはねむらないでくださいね
紐を編む趣味があったらいいのにね あるの? 列車が駅をとばした
そうだった、わたしは足がおそくってあなたはもっと、桜桃の花
花が散るサフランライス正直に話そうよって言われる予感
正解はCMのあと永久歯ぬいてしまえよさみしくなるね
整体になおしてもらう桜蘂降るなにをどう変えられたのか
あせらない 蛍光灯がぱちぱちとあなたをよくしてあげようとする
よくわからないことばかりある図画工作できたらそれが愛にかわって
飽きないでいられるように頭痛薬ちがう種類を毎回えらぶ
あなたのことだよって言われてはっとさせられる 星のカービィスーパーデラックス
夢みてたならば許してくれるかなおくるみの中のあかちゃん 長いつめ
ふかふかのクッションへと頭を落とすいるかの模様をいっぱいつぶす
言わなくていいから手錠していてねどこにもいけないようにアネモネ
教会の椅子があるカフェご実家は教会ですかちがうんですね
しなくてもいいことばかりしていたいさすらいメルツェンつけ爪をとる
希望とはわたしがいなくなることだ天窓がよごれるのいやだね
月おぼろあなたなに言ってるのって言われあきたよ水は透明

ものを書くために使います。がんばって書くためにからあげを食べたりするのにも使うかもしれません。