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自律神経を鍛える:不便益1.温暖差

季節の変わり目に思うこと
 3月から4月の季節には朝晩と昼の温度差が生じます。温度差は身体に負担をかけるため、温暖差疲労になることが知られています。一般的に温暖差は悪いものととらわれがちで、温度差をなくすように今の生活環境を作られていますが、温暖差は人間にとって本当に必要がないのでしょうか?そこで、第1回は温暖差は身体にどんな意味があるのかを考え見ます。

体温調節と自律神経
 温暖差が起こると体温調節を一定に保つために体温調節が無意識で行われます。体温調節は一般的に自律神経が行っており、寒いと交感神経が優位になることで血管や筋肉が収縮し、血液を身体の中心にに集めることで体温を維持しようとします。逆に暑くなると体温が上がりすぎるので、副交感神経が優位になり血管や筋肉が緩み、熱を放散しようとします。このように、恒温動物である人間は体温を一定に保つために、温度差が起こると自律神経を活発に働かせ、体温調節を行うのです。
 しかし、この体温調節が頻回に行われると自律神経が働きすぎで、不調を来たし、交感神経が亢進したままの状態になるので、筋肉の緊張(コリやこわばり)や疲労、手足の冷えに始まり、気分の落ち込みやストレス、うつに発展し、最終的には自律神経のコントロールが効かない自律神経失調症のような状態になるのです。

温度差は自律神経を刺激する
 このように温度差が起こると体温調節が必要になり、頻繁に自律神経を使うことになります。自律神経が正常な人は調整が可能なので、コリやこわばり、疲労を起こしませんが、自律神経の調整力が弱い人はコントロールできずに肩こりや腰痛を起こしたり、疲労を起こしたり、しまいには風邪を引いていしまうなどの状態になります。このように、温度差に弱い強いはまさに自律神経の機能状態を示しているバロメーターであり、自分の身体を知る1つの物差しなのかもしれません、ちなみに、一般的に温度差は3‐5℃変化すると身体に負担が起こるため、朝晩と昼の温度差が3-5℃変化するときは、あなたの自律神経が試されているのです。

サウナの原理で自律神経を温度差で鍛える
 サウナが流行っていますが、サウナは温まるところと冷水の2つの工程を繰り返し行うことで、いわゆる整うという状態を作ります。これは、自分で自らが作った温暖差であり、温暖差を身体に繰り返すことで自律神経を整え、快適な状態を作るのです。そう考えると、温度差をうまく利用することで自律神経を整えたり、鍛えることができることになります。そして、何よりも自律神経を鍛えると、筋肉のこわばりやこり、内臓機能、睡眠などの改善にもつながり、一石二鳥なのです。

日本家屋は素晴らしい
 ただし、短時間での急激な温度差は心臓に負担をかけます。そのため、日本家屋では急激な温度差を起こさないように、寒い・暑い外に出る前に玄関、熱いお風呂に入る前に脱衣場のように温度を緩和する仕組みが組み込まれています。それもこれも身体を温度差から守るために大切な要素であり、とても良きできた仕組みなのです。

まとめ
 季節の変わり目に起こる温度差は、身体にはとても負担ですが、見方を変えて自分の自律神経を鍛えると考えると意味があることがあります。不便の中の利益です。そう考えると、昔は隙間風があり、家にいても部屋ごとに温度差はあったため、生活しているだけで自律神経が鍛えられていましたが、今は温度差をなくすような生活環境の中に現代人は身を置いているので、自律神経は鍛えられずに機能は低下する。だからこそ、現代人には自律神経失調症は多いのかもしれません。


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