見出し画像

well-beingな生き方

 最近、well-bringな生き方が注目されています。
そもそも「ウェルビーイング」(well-being)とは、身体的・精神的・社会的に良好な状態にあることを意味する概念で、「幸福」と翻訳されることも多い言葉です。世界保健機関(WHO)憲章の前文では、「健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態(well-being)にあることをいいます(日本WHO協会:訳)」とされています。
 そこで、well-beingな生き方が注目されるわけを考えてみたいと思いまいます。

◎社会が注目する「well-being」な社会◎
 そこで、社会が「well-being」のどのような部分に注目しているのかについて、インターネットの記事を抜粋しながら、まとめてきたいと思います。
参考:https://panasonic.co.jp/ls/plsnw/switch-times/well-being/501001.html

多様性を認める社会
 近頃、「ダイバーシティ」という言葉を聞くようになった人もいるはずです。ダイバーシティとは、「多様性」という意味があり、人種や宗教、性別、ワークスタイルなどにとらわれない考え方をいいます。
 グローバル化が進む今後は、さまざまな考え方やバックグラウンドを持った人とコミュニケーションをとる機会が増えていくはずです。その際に、それぞれの能力をフルに発揮させ、コミュニケーションを円滑にとるには、多様性を認めることとウェルビーイングが必要だと考えられています。

人材確保
 少子高齢化が進む将来、例えば今から約45年後の日本における労働力人口は、2016年のときと比べると約4割減少するという結果がでました。さらに労働力率は50%ほどまで低下すると見られており、2016年と同等の数値にするには、女性の労働力を男性並みに引き上げる必要があるといわれています。
 また、労働力率をアップさせるには、「病気治療と仕事の両立」「育児と仕事の両立」「働き方改革」が必要であるという結果になりました。ここでも、ウェルビーイングの考え方が求められるようになるでしょう。

SDGsの一部に組み込まれる
 「SDGs(エスディージーズ)」とは、持続可能な開発目標のことで、2001年に策定されたミレニアム開発目標の後継にあたるものです。2015年9月の国連サミットの採択内容に記載され、2030年までに持続可能でより良い世界を目指すための国際目標として掲げられています。SDGsは全部で17項目あり、3つ目に「すべての人に健康と福祉を」という項目が設けられ、ウェルビーイングについて考える必要があることがわかるはずです。

働き方改革
 2019年4月からおこなわれるようになった「働き方改革」では、長時間労働の是正や、多様で柔軟な働き方ができるように改革していく必要性があることなどを唱えています。また、2020年に問題となった新型コロナウイルス感染症も1つのきっかけとなり、リモートワークが拡大していますが、それに伴って精神面の不調やストレスを抱える事例も多発。
 コミュニケーション不足によるこれらの弊害は、リモートワークをする社員だけでなく家族にも影響を与えます。働き方に対しても、ウェルビーイングが深く関係してくることがわかるはずです。

◎ビジネス的側面でのウェルビーイング◎
 ウェルビーイングではギャラップ社の調査が有名で、幸福度をはかる調査軸に体験と評価があります。そのうち評価の項目は、世界幸福度ランキングの指標の1つにもなっているほどです。こういった調査をもとにギャラップ社が導き出した5つの要素について、ビジネス的側面から考えてみましょう。

Career well-being(キャリア ウェルビーイング)
 キャリアというと、仕事での能力や出世などを考える人がいますが、ここでいうキャリアは、ボランティア活動や家事、育児、勉強なども含みます。仕事や私生活でのキャリア構築の幸福です。自分の1日の過ごし方に満足しているかという意味もあり、ビジネス側面から考えると、ワークライフバランスのことでしょう。

Social well-being(ソーシャル ウェルビーイング)
 社会的な幸福と訳せますが、いわゆる人間関係に対する幸福のことです。交友関係の量だけでなく、信頼でき愛情のつながりのある人間関係があるかどうかがチェックポイントでしょう。ビジネスの側面から見ると、上司や部下、同僚などとの関係性を指します。

Financial well-being(フィナンシャル ウェルビーイング)
 3つ目は、経済的な幸福のこと。報酬を得る手段があるのか、報酬に納得しているのか、自分の資産管理ができているのか、などが該当します。

Physical well-being(フィジカル ウェルビーイング)
身体的な幸福のことです。身体的に健康で、毎日思ったように行動できるエネルギーがあるかどうかが基準となります。ビジネスで考えれば、身体的な健康はもちろんのこと、仕事に対するモチベーションも含まれるでしょう。

Community well-being(コミュニティ ウェルビーイング)
 自分の周りにあるコミュニティとの幸福についてです。居住地や家族、親戚、友達、学校、職場などがあるでしょう。いわゆる、地域社会での幸福です。ビジネス面で考えれば、会社、部署、取引先などが該当するでしょう。

まとめ
病気は社会が作っているからこそ、住むだけで健康な社会を作ろう!

 病気の多くは社会が作っていると言っても過言ではありません。例えば、ストレスがその代表的なもので、職場のコミュニティや満足度などは健康状態に大きく影響してきます。また、家族や友達のように信頼できる仲間がいることも、健康には重要です。さらには経済状態、特にお金の問題は健康に大きく影響しています。そう考えると、健康で幸せな状態でいるためには、個人で努力できる部分と、社会が協力しないければいけない部分があるように感じます。
 現在「well-being」というと個人の生き方や価値に目が奪われがちですが、人が健康で幸せに生きていくために社会をどのようにあるべきかを考えることの方が本当は一番大切なのだと思います。しかし、現在の健康や医療は個人の価値観という側面が強く、環境問題のように社会全体で健康ないられる住みやすい社会を作ろうという機運はありません。そう考えると、まずは個人の健康を考えることからで構わないので、個人の健康をきっかけに社会の健康を考えていくが大切であると考えています。
 その意味では、養生という健康法は、季節に応じた環境に優しい健康法です。健康になるために、養生という季節に応じた生き方を選ぶ。そして、養生という生き方が、季節の食べ物を楽しむ地産地消や自然を楽しむ山登りなどの健康法につながり、環境負荷の少ない活動を推奨することになる。そして、その環境負荷の少ない活動がSDGsや働き方を変え、多様な生き方を認めることになる。そんな流れを東洋医学ができれば素晴らしいなと思っています。そして、そんな価値観を持った医療者が増えてくれることが大切です。まさにアントレプレナーシップです!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?