ME/CFMの世界啓発デー
本日は、私が専門としております線維筋痛症を含む慢性免疫神経系疾患の啓発デーです。そこで、これらの病気の背景を含めて、私なりに深堀してみたいと思います。
5月12日がME/CFS世界啓発デーになった経緯
5月12日が筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群、線維筋痛症、化学物質過敏症、湾岸戦争症候群などの慢性免疫神経系疾患(Chronic Immunological Neurological Disease)の世界啓発デーになったのは1992年のことです。 現在では、慢性ライム病(日本では、2-4週間の抗生物質によって完治する急性ライム病の存在以外は認知されていない。)、カビ菌/生体毒素症、敗血症後症候群も含みます。
参考記事
https://www.markhouse-projects.com/%EF%BC%95%E6%9C%88%EF%BC%91%EF%BC%92%E6%97%A5me-cfs%E4%B8%96%E7%95%8C%E5%95%93%E7%99%BA%E3%83%87%E3%83%BC/
深堀:私が専門とする線維筋痛症とはどんな病気?
線維筋痛症候群(fibromyalgia syndrome:FMS)は全身に広がる慢性的な筋痛を主訴とし、同時に全身倦怠感や睡眠障害などの様々な不定愁訴を訴える症候群です。当初、FMSは血液検査やX線検査などで特別な異常が見つからないことから筋リウマチや非関節型リウマチなど多くの名前で呼ばれ、また症状の変化に心因的な要因が大きく関与することからその存在すら疑われた時期もありました。しかし1990年にアメリカリウマチ学会により分類基準が作成され、FMSの一般的な診断基準とされています。
FMSの診断基準は、広範囲に及ぶ疼痛が3ヶ月以上持続し、全身18箇所に存在する圧痛点のうち4kg以下の圧力で11箇所に疼痛が存在することで、症状としては全身の疼痛以外に全身倦怠感や睡眠障害・慢性頭痛や過敏性腸症候群などの随伴症状を併発します。実際このような診断基準を満たす者は患者全体の2%以上であると予想されており、20~60歳代の女性に特に多いと言われています。またある調査では60歳以上の女性に限ればFMSの診断基準を満たす患者は7%を越えるとの報告もあります。このことから慢性的な筋骨格の痛みを広範囲に訴える場合、FMSを念頭に置いた診断・治療が必要となります。
しかしながら、本邦ではFMSに対する認知度が低いこと、またFMSに対する有効な治療法が確立していないことなどからFMSと診断されることは少なく、このような症状を訴える疾患の多くは難治性や心因性の疾患として取り扱われていることも少なくありません。そこで、西洋医学だけに頼るのではなく、東洋医学や養生などの概念を取り入れた多角的な治療が求められています。
記事(明治国際医療大学のHP)
http://www.meiji-u.ac.jp/ac-cli/staff/itoh/fm1
病気の背景を探る
筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群、線維筋痛症、化学物質過敏症、湾岸戦争症候群などの慢性免疫神経系疾患(Chronic Immunological Neurological Disease)はあまりなじみが薄い疾患かもしれません。これらの病気の原因には様々な理由がありますが、その一つの大きな因子に社会的要因があると考えています。何か病気や症状を起こすきっかけとなる原因はあったとは言え、その背景には環境問題や、孤独などのコミュニティの問題、仕事などのストレスの問題、さらには経済的な問題などが複雑に絡み合い、病気の悪化させたり、継続させたりしたいると考えられています。その意味で、これらの病気は社会が生んだ病気とも言えます。そう考えると、社会で生まれた病気は社会でないと治すことも癒すこともできない。そんな思いから、これらの病気の治療を医学的な立場から専門としながらも、社会を巻き込んで解決していく社会的処方に注目し、住むだけで病気が癒され、健康になれるような街づくりである養生場構想という活動をしています。
そして、コロナ禍の社会では、社会が作りだした社会的要因による症状や病気が増えることと予想されています。そんな今だからこそ、価値観や生活様式を見直し、社会を巻き込んだ新しい健康法を実現するのが私の夢です。そして、それが大阪万博のテーマに盛り込まれればなお一層、世界に広まるのではないかと考えています。まだまだ小さな活動ですが、あきらめずに頑張りたいと思います。
活動のリンク
https://linktr.ee/yojyo
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