見出し画像

宮本常一とクロポトキン

「忘れられた日本人」を開く
という本を読んでいて、心が安らぐ気がした。
失われつつある日本の姿を記録に残した民俗学者である 宮本常一 の仕事を様々な角度 から再検証した内容だ。

あの当時の日本って、どうだったんだろうと想像するだけでたのしい。

中でも興味深かったのが 宮本が影響を受けたというクロポトキンについての部分だった。クロポトキンといっても、今は詳しく知っている人はほとんどいないのではないだろうか。宮本は、彼の相互扶助論という思想に強い影響を受けたという。

あらためてクロポトキンってどんな人なのか調べてみた。


クロポトキンは1842年にロシアの貴族家庭に生まれた。幼少期から学問に秀で、特に地理学に強い興味を持っていた。ペテルブルクの軍事学校に進学し、卒業後はロシア軍に入隊した。

ここからはwikiからの引用なので飛ばして読んでください。

2. 地理学者としての活動

彼はシベリアでの調査に参加し、地理学者としての名声を確立。この時期に自然界の研究を通じて、相互扶助の概念に興味を抱くようになった。彼の地理学的研究は、地形や気候についての詳細な観察を含んでおり、後に彼の無政府主義思想に影響を与えた。

3. 政治活動と亡命

クロポトキンは1870年代に政治活動を開始し、ロシアの革命運動に参加した。しかし、政府の弾圧を受けて1874年に逮捕され、その後脱獄し、スイス、フランス、イギリスなどに亡命した。彼は亡命先で無政府主義の理論を発展させ、多くの著作を執筆した。

4. 晩年

ロシア革命後の1917年にロシアに帰国したが、ボルシェヴィキ政権に対して批判的であった。1921年に死去し、その葬儀には多くの人々が集まり、彼の影響力の大きさを示した。

思想

1. 無政府主義

クロポトキンは、国家や政府の存在を否定し、自由な協力と連帯に基づく社会を提唱した。彼は、権威主義的な統治が人間の自由と創造性を抑圧すると考え、中央集権的な国家に代わるコミュニティの自律的な連合を主張した。

2. 相互扶助論

『相互扶助論』は、クロポトキンの代表的な著作であり、彼の進化論に対する独自の視点を示している。彼は、自然界や人間社会における相互扶助の事例を通じて、協力が進化の重要な要素であると主張した。この思想は、彼の無政府主義の基盤を形成し、後の社会学や人類学にも影響を与えた。

3. 経済理論

クロポトキンは、資本主義経済の競争と搾取に対しても批判的であった。彼は、労働者の自主管理と協同組合に基づく経済モデルを提案し、生産と消費が地域コミュニティによって管理されるべきだと主張した。

大杉栄もクロポトキンに傾倒していた。

本書によれば宮本常一はクロポトキンの思想に深い影響を受けている。

宮本は自らを貧しい農家の出身とし、その体験から生まれた共感や理解を元に、民俗学に対する興味を持つようになったと述べている。

彼は、幼少期の世の中で一般的だった生存競争や立身出世主義に対して懐疑的であり、その代わりにクロポトキンの相互扶助の思想に魅了された​、ということらしい。

遠いロシアの思想が、日本に残っていた相互扶助の伝統を記録させたってことかもしれない。

よろしければサポートお願いします! いただいたサポートはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!