第10回 多文化共生 埼玉交流の集いで講演しました。

8月27日 五味洋治(東京新聞論説委員)

自己紹介と最近の日韓関係


먼저, 이런 뜻 깊은 자리를 마련해주신

崔洛文최락문 당잔님  代表世話人の경민표 선생님 비롯한 
본부직원분들과 참석해주신 모든 분들께 감사드립니다.

今日はおまねきいただきありがとうございます。
今日は3つの話、
私の個人的体験
仕事を通じてみた日韓関係
多文化、多様化は避けて通れない課題

私の個人的体験


3年ほど前にもここで話をさせていただきました。
多文化の中に生きている 私は韓国とは30年の付き合いです。
私は国籍こそ日本ですが、7割は韓国、2割は中国、日本の部分は1割で成り立っている。
それは25年ほど前に韓国に留学したことから始まりました
川崎に7年ほど赴任して韓国に興味を持ちました。

今も韓国にはいけませんが、毎日韓国のニュース番組を見ています。
ユーチューブでリアルタイムで見ることができます。
仕事のことはあとで話しますが
延世大学語学堂に留学しました。
留学試験は社内で選抜 2人しかいなかった。

当時はハングルの教科書がなかった。韓国の知人に大学の教科書を送ってもらった記憶があります。
ソガン、ソウル、韓国外国語大学 延世大学など韓国語教育機関がありますが、延世大が一番厳しいと有名でした。

宿題が山ほど出てくる。大学を出て初めて懸命に勉強した。
民族教育の一環 お父さんがハシをとったら家族もハシを取るとか。名節の時には、家族が一緒に過ごす

それでも日本から来た若い人たちにかなわない

日本社会の閉鎖性 心の葛藤 アイデンテティー探し
選挙の時に孤独感を感じるという在日の友人にも会った。

タクシーでの経験 私は韓国語で運転手に話しかける 在日の友人も 私が話せば「すごい」、在日の友人が話すと「おまえその程度か。どんな教育うけたのか」

飲みに行くと、日本と韓国、どちらが上かで言い合いにある、あやうくケンカになりそう。どっちもいいところがあると仲裁した。
 
いまは、韓国語を学んだことが助けになっている。

最近、ウヨンウ弁護士は天才肌 字幕をみずに韓国語で見られます。ニュースもほぼ聞き取れます。

妻は中国国籍。家の中で違う文化の人がいると、衝突がある。

子育てで衝突。子どもは叩かないと分からないと妻は言い張る。

同僚と飲みに行くことが理解できない。会社に人生をかけるくらいなら、飲食店をやろうという。

親を大切にする。3年ほど帰らなかった時期もある。毎週電話しろと言われ実践した。驚いて何かあったのか。

本当に多文化になっています。でも外国人を受け入れているかは疑問。日本社会の排他性は故安倍首相自身の歴史観と結びついている。

安倍氏は、著書『美しい国へ』(06年)のなかで「日本の歴史は、天皇を縦糸にして織られてきた長大なタペストリー」「日本の国柄をあらわす根幹が天皇制」といった見方を再三のべていた。

また「お父さんとお母さんと子どもがいて、おじいちゃんもおばあちゃんも含めてみんな家族だ」という家族観と、「そういう家族が仲良く暮らすのが一番の幸せだ」という価値観は守り続けていくべきだと思う〉と書いている。

この思想を突き詰めると、日本国籍の人、結婚して子どもを持つ人以外は、日本に住むべきではないとならないか。

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今の仕事 社説を書く 日韓関係


30年間見てきた日韓関係
文在寅政権下での困難 尹錫悦政権の対日姿勢
徴用工問題の行方 人権か、国と国との約束か

人権か、国と国との約束か。韓国側の主張も全否定できない部分がある。

意外としられていない名古屋高裁の判決

2007年に出た判決は、名古屋の三菱重工の工場ではたらいた朝鮮半島から来た女子挺身隊について

国には強制連行・強制労働についての民法上の不法行為による損害賠償責任を負うと認めた。国側が、責任を負わないことの根拠にしている「国家無答責」(明治憲法下では国には不法行為責任はないということ)の法理は存在しないと認められたす。結論は韓日請求権協定により国には賠償請求に「応じる法的義務はない」という、結論になったが、国に強制連行・強制労働に対する賠償責任があることを正面から認めた裁判例は初めてだった。
三菱重工業も、原告らの強制連行・強制労働についての民法上の不法行為責任を負う余地があると認めた。三菱重工業はこの点、戦前の三菱と戦後の三菱は別会社であると主張していましたが、実態としてそれは認められないとはっきり判断された。
名古屋高裁判決は結論としては、原告らの請求する権利はあるが韓日請求権協定により、請求を受ける側に「応じる法的義務がない」という判断を出した。今後、原告らの救済を図るための大きな足がかりを与えた。


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なぜ多文化が必要なのか。世界では多文化というより「多様化」


生物は多様化で生き残ってきた
ジャガイモ絶滅が教えること
昔、アイルランドで起きた「ジャガイモ飢饉」が、その典型例。19世紀のアイルランドでは、高い収穫量を求めた結果、生物多様性を無視して、生産効率の良い1種類のジャガイモだけを集中して栽培するようになった。

ところが、そのジャガイモが感染するウイルスが海外から入ってきたとたん、ジャガイモは全滅し、100万人が命を落とす事態になった。

今の日本も似たような状況だ。江戸時代には、1つの田んぼにいくつもの種の稲を植えていたそうです。効率だけをみれば当然悪く、1坪当たりの収穫量は、今の3分の1以下だったという。しかし、効率の追求よりも、生物多様性のほうが、自分たちにとって大事なことを、江戸時代の人たちは経験的にわかっていて、あえて複数の種類の稲を植えていたのだろう。

ところが、明治初期には4000種もの稲を植えていた日本はその後、「植えるなら収穫量の多いものを。消費者が好む味のものを」と、どんどん稲の種類を絞っていき、今植えられている稲は88種にまで減った。

しかもそのうち、わずか4種(コシヒカリとその子孫)が収穫量の3分の2近くを占めている。日本は、200年前のアイルランドの悲劇を「対岸の火事」とはいえない状況だ。

ガーファ グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン

アップル創業者のスティーブ・ジョブズは、シリア系移民の子として生まれた後、アメリカ人の家庭に養子として迎えられた2世だ。

グーグルのセルゲイ・ブリンはロシア系移民1世で、マーク・ザッカーバーグらと共にフェイスブックを創業したエドゥアルド・サベリンはブラジル系移民1世。アマゾンのジェフ・ベゾスはキューバ系移民2世である。

ザッカーバーグは、ハーバードを卒業した人だが、奥さんはベトナム系の中国移民です・

このほかにも数多くのIT企業が、移民やその子孫によって創設されている。

単一民族神話が強い日本で、少子化が進む。

「仕事と子育てを両立できる環境整備の遅れや高学歴化」、「結婚・出産に対する価値観の変化」、「子育てに対する負担感の増大」及び「経済的不安定の増大等」が理由

婚外子の割合の国際比較


日本……2.11%
英国……43.66%
フランス……49.51%
ドイツ……29.96%
スウェーデン……55.47%
アメリカ……38.50%
韓国 1.9%

となっている。

婚外子の割合が高い国にはヨーロッパが多いが、これには事実婚と法律婚に大差がないことや、国民の認識が事実婚に肯定的、あと法律婚に費用と手間がものすごくかかる国が多い、離婚するカップルが多い、離婚するのがすごく面倒な国もある、といったことがその理由であろう。

今年5月、世界有数の富豪であり、Twitterの投稿が度々大きな話題になる、テスラCEOのイーロン・マスク氏のツイートが韓国に大きな反響を呼び起こした。「出生率が変わらなければ、3世代のうちに韓国の人口は現在の6%になり、大部分が60代以上の高齢者になるだろう」という内容だ。

世界銀行によると、韓国の合計特殊出生率は世界200カ国のうち最下位の200位である。韓国統計庁によると、2021年には0.81を記録した(図1)。人口維持どころか、日本の1.33(2020年)の6割の水準であり、OECD加盟国の中で唯一、1を下回っている。

東アジアの中で最も高度な経済成長を遂げた日本は、1970年代から合計特殊出生率が人口維持の目安とされる2.13の人口置換水準を下回るようになり、少子化による人口減少をアジアで初めて経験した。しかし、その深刻さを認識した政府による継続的かつ多様な取り組みにより、日本の合計特殊出生率は2005年の1.26を底に再び増加に転じ、人口置換水準(2.13)よりは低いものの、1.3~1.5を維持している。日本の出生率は現在も減少し続けており、人口問題の解決にはほど遠い。

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多文化から多様性へ


多様性の科学 画一的で凋落する組織、複数の視点で問題を解決する組織 単行本(ソフトカバー)
マシュー・サイド (著) : ‎ ディスカヴァー・トゥエンティワン (2021/6/25)を紹介したい。

9.11事件を予測できなかったCIAの反省が書かれている。


我々は自分と同じ考え方の人、同じ視点や同じ偏見を持つ人と一緒にいることを無意識に好む。そのほうが気が楽だ。しかもみんなで賛同し合って、自分たちの考えに自信を持てる。頭が良くなった気になる。実際には愚かな集団でしかないのに。

CIA長官ジョン・ブレナンは、なぜCIAが911に関する情報がありながら、計画を把握できなかったのか調査させた。
その結果「調査チームはCIAの内情を厳しい目で検討し、明白な結論に達した。CIAはさらに多様性に富んだ、包括的な環境作りの努力をしなければならない。それが我々の今後の使命である」と述べた。

多文化共生 多様性を守り、生かすための3つのコツ

差別やヘイトスピーチの問題ビジネスから政治、歴史学から進化生物学にまで関わる問題だ。

「無意識のバイアス」を取り除く


無意識のバイアスは、自分では気づかないうちに持っている偏見や固定観念だ。世の中には、才能ある人々が、人種や性別に関する無意識のバイアスによって理不尽にチヤンスを奪われるケースが多々ある。

影の理事会を開く


『ハーバード.ビジネス.レビュー」誌で、企業経営の専門家ジェニファ!ジョーダンマイケル.ソレルの両氏は、高級ファッションブランドのブラダとグッチの経営状態を比較する論文を発表した。

プラダは長年ずっと高利益を誇ってきたが、7年には売り上げが落ち込んだ。なぜか?同社は2018年、「デジタル化の重要性(中略)に気づくのが遅かった」と公式に発表している。

一方グッチは陰の理事会を設け、若い人材とベテランチームとの定期的なコミュニケー ションを図っていた。役員会議で取り上げる問題について同社の若手社員が出す意見は取り入れられた。

事実グッチの売り上げはインターネットも含め34億9700万ューロから82億8500万ューロ (約1兆400億円)へと136%の伸びを見せた。同時期のブラダは、35億5100万ユーロ (約4460億円)から31億4200万ユと丨口 (約3940億円)へと11.5%下落している。

与える姿勢


多様な社会において他者とのコラボレーシヨンを成功させるには、それなりの姿勢で臨まなければならない。自分の考えや知恵を相手と共有しようという心構えが必要だ。
与える姿勢があつて初めて、受け取る機会を得られる。実際いくつかの研究において、「ギバー」つまり「与える人」は成功を収めやすいという結果が出ている。

今日は私の体験、日韓関係、多様化の大切さをお話した。
多文化共生が今の世界に欠かせないどころか、これがない社会は衰退していく。

参考


「多様性の科学」(マシュー・サイド著 パキスタン出身の父と北ゥェールズ出身の母を持
「「雑草」という戦略 予測不能な時代をどう生き抜くか(稲垣栄洋著、日本実業出版社)

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