黒色テント68/71「ショウボート昭和」(喜劇昭和の世界より)

演劇センター68/71、 通称「黒テント」のレコードです

佐藤信、昭和三部作の真っ只中に作られたもので、
主に「阿部定の犬」と「キネマと怪人」からの 曲が多いです。
「阿部定の犬」では、 クルト・ワイルの作曲のブレヒトソングに
浅草喜劇のような日本語歌詞を載せたのが傑作で、
「あの歌の数々をもう一度聴きたい!」 という方は
多いのではないでしょうか。

ちなみに、この頃、ブレヒトソングを歌ったのは、
ドアーズのジム・モリソン「アラバマソング」くらいだったと思います。
その後、マリアンヌ・フェイスフルや
スラップ・ハッピーの歌姫ダグマー・クラウゼが、
ブレヒトソングだけのアルバムを発表したり、
ハル・ウィルナーが「星空に迷い込んだ男・クルトワイルの世界」
を出したりと再評価の流れが出来ましたが、
このレコードは、そうした再評価前夜に出たものです。

加えて、斉藤晴彦の「唄うチゴイネルワイゼン」
この下町アクロバット的絶唱は、
永久保存すべき日本の文化遺産であると思います。
唐十郎の状況劇場や寺山修司の天井桟敷のレコードが、
次々とCD化されている中で、 このレコードは未CD化で、
かなりレアだと思います。

昔、劇団の人から聞いた話だと
予約を取ったら 予約票がたくさん送られて来た。
それで、振り込み用紙を送ったのだが、 あまり振り込みがない。
困ってしまって、 予約者全員にレコードを 発送した。
それでも振り込みがほとんどなく、 劇団は莫大な借金を抱え込んだ。
劇団員にとって、このレコードは トラウマとなっている、とのこと。
今後もCD化はされないかもしれません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?