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言葉の宝箱 1066【どんなに悲しい経験も時はいつか思い出に変えてくれる】

食堂01

『懐かしい食堂あります 谷村さんちは大家族』似鳥航一
(角川文庫2016/12/25)

裏表紙に“東京は下町。昭和の雰囲気が残る三ノ輪に、評判の食堂がある。
そこはいま大騒動の最中だった。隠し子騒動で三代目の長男が失踪。
五人兄弟の次男、柊一が急きょ店を継ぐことになったのだ。
近所でも器量よしと評判の兄弟だが、中身は別。
家族の危機にてんやわんやの大騒ぎ。
だが柊一の料理が大事なものを思いださせてくれる。
それは、家族の絆。とき涙し、ときに笑う。おいしくて、あったかい。
そんな、懐かしい食堂あります”と記されている。
この短い文章の中に「大騒動」「騒動」「大騒ぎ」と忙しないが、
ほのぼのとした情緒あふれる連作短編集。

・人生において大切なものは、
その人の年齢や状況しだいで変わっていく(略)
家庭をもち、子どもが生まれると、それが自分より大切なものになる。
誇張ではなく、生きていく上で優先するものが、自分にとってではなく、
子どもたちにとってどうかという基準に切りかわってしまうのだ。
たぶん、それは親としての本能なのだろう P10

・どんなに悲しい経験も、時はいつか思い出に変えてくれる P15

・食べものをおいしくするのは、突きつめれば組み合わせなんだよ。
どんな方法と手順で組み合わせるか、その技術体系が料理なんだ(略)
目立たないものが案外大事だったりする。人と人との関係も同じもの P46

・一般論として、苦労している子どもほど、早く大人になるという P52

・わるいことばかりはつづかないよ(略)
みんなが正しいやりかたでがんばってるのをわたしは知ってる。
わかる人にはちゃんとわかるよ。伝わるよ(略)
大事なものっていうのは、言葉とは関係ないところにある P257

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