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言葉の宝箱 1026【死んじゃいたいと思っているのに死ねないのは、細胞たちは生きたいと思ってるから】


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『最後の晩ごはん⑤ 師匠と弟子のオムライス』椹野道流
(角川文庫2015/12/25)

兵庫県芦屋市にある夜だけ営業の定食屋『ばんめし屋』に元イケメン俳優の海里もすっかり馴染み、美食について勉強中。店長の夏神に師匠の船倉から「自ら営む洋食屋を、近々閉店する」という電話。すぐに皆で店を訪ね、船倉の作る洋食を堪能するがその直後に彼が急死したという報せが届く。若き日の夏神に料理という希望を与えたシェフの想いとは? シリーズ第5弾。

『小さな歩』『遠い日の名残』『幕を引く手』
『物言わぬ人のために』『歩いていくこと』5話連作短編集。

・料理というのは、ただ、食材を食べられる状態に加工することではない。年がら年中、同じメニューを出しているからといって、
毎日、まったく同じ作り方をすれば、
一定の味が守られるというわけでもない。
季節に合わせ、環境に合わせ、相手に合わせ、お客さんひとりひとりが、
いちばん美味しく食べられるように調理方法や味付けを工夫して初めて、
その料理を食べた初回の感動を、
二度目、三度目にも保つことができるようになるのだ P10

・好き合うとっても、長いこと付き合うても、
どないしても添わん心もある。
その一方で、出会い頭にいきなり添うてしまう心もある P84

・優しいんと逃げ腰なんは、また別もんや P87

・何もしようとしなくていいの。無理に話しかけなくてもいいの。
身内が傍にいてくれるだけで、動物は安心するものよ(略)
他の人にはできない、いちばん大事な仕事よ P107

・死んじゃいたいと思っているのに死ねないのは、
細胞たちは生きたいと思ってるから P118

・人間とは(略)
たいていのことには慣れてしまう生き物であるらしい。
忙しいなら、なおさらだ P150

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