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『ゆるくつながる人間関係』

 日本は、一年中どこかで自然災害が発生しています。

 まずは、みなさまにおかれては、被災しないよう日々ご注意いただくとともに、まさかの時の備えに、避難場所の確認や家族との安否確認方法など再確認くださいませ。

◆災害ユートピア
 こうした災害がいつも身近にある中、こんな話題です。

 人間は災害に見舞われ窮地に立たされると、全くの赤の他人同士でも普通に協力しながら行動するといったこと。

 レベッカ・ソルニットという著作家の執筆した「災害ユートピア」(亜紀書房刊)の中に、これをみることができそうですよ。

 あのアメリカ人でさえ(混乱あるとすぐ暴動や掠奪が発生する印象だけで、決めつけてスミマセン)、避難生活ではお互いが助け合っていたんだとか。

 普段、全くの赤の他人で接点のない人たちが、災害という危機的事態に直面すると手を取り合って生き延びようとしている光景をみて、まるで“ユートピア”のような光景と表現したようです(ここまでの参考:伊藤亜沙編「利他とは何か」(集英社新書2021年)P52~)。


 しかも、このユートピアな光景も、災害が去ってしまうと、ここまで協力していた人々はまた元の他人に戻ってしまうそうです。


 決して強くつながり続けず、必要のあるときに必要な人とつながるといった“ゆるくつながる関係”。

 もしかしたら、今どきの人間関係にフィットするかもしれないと感じた次第です。

◆強くつながる関係
 家族や親友など強くつながる関係は、心の隙間や不安をカバーするためにもとても大切な存在(関係)だと思いますし、個人的にも年を重ねるたびに、どんどんありがたいことを感じております。


 その一方で、現代社会が目まぐるしく変化し続ける時代にあり、今日の常識が明日は非常識になることも決して大げさではなく、強くつながる人間関係がデメリットになる場面も想像できそうです。


 例えば、目まぐるしく変化し続ける原因のひとつに価値観の多様化がありますが、こうした多様化する時代に特定の人物とだけ強くつながることで、逆に社会から孤立する危険をはらむ(デメリットになる)ことは想像するに難くないのです。


 高齢者の孤立や孤独死の問題、国際社会で孤立する国家の問題も、こうした関係性で説明できそうなところです。

◆ゆるくつながる関係
 「災害ユートピア」のようにいつでも切れるゆるい関係は、予期せぬ災害や時代の劇的な変化にもうまく対応できるコツかもしれませんね。


 また、定年退職後の気持ち良い生き方のため、仕事の利害関係者といつまでも強くつながる関係を断ち、いつでも離れられるゆるい関係で働くことを勧める識者もおります(「ほんとうの定年後」坂本貴志氏 講談社新書刊 p210~)。


 最近のシェアハウスやサブスクといった存在も、こうした時代を反映して、(所有することに執着しない)ゆるい関係を反映しているかもしれませんね。

◆親友いなくても大丈夫!
 浅くつながることで思い出しましたが、社会人になると学生時代に比べ心を許せる親友を作りにくいと感じませんか?

 いいのです。親友いなくたって。
 親友(友達)が必要と考えるのは、日本人は小さい頃から、"一年生になったら友達100人できるかな"と歌わされ、友達多いことが正しいと洗脳されてきただけですから。(笑)

 普段、親密にする友達を作れず悩む場合があるかもしれませんが、人間関係は少し希薄なほうが、今どきの変化の激しい時代には心のリスクマネジメントになるかもしれません。

 心許せる親友の存在を否定しませんが、無理に親友を求めず自然体でいることも一考かもしれませんよ。

◆仕事でもゆるくつながるメリット
 こうした関係性は、仕事にも役立つかもしれません。

 ピンチでつながり平時で離れる災害ユートピア的関係性が組織内で活かせたら、変化の激しい時代に役立つような気がしました。

 過干渉を避けつつも、問題にぶつかったときに助けてくれる関係。ゆるくつながることでバランスよく。

 さらに、ゆるいつながりのその先に、勤務時間終了後の帰りにくさで無駄に残業してしまう雰囲気の縮減にも一役買うかもしれませんが、いかがでしょうか。

 ゆるくつながるメリット感じませんか?


           yoitenki4110

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