死んで欲しい。5 コーヒー

コーヒーのお代わりがふたりのカップに注がれていた。
 さっきのお店で飲んだお酒のせいか、君は普段よりおしゃべりだったようだ。
話は仕事の話から、君の恋愛話に変わっていった。
 女子会で恋バナをしているかのように、元カレの話や振られた話、最近の女子恋愛事情を話していた。
 僕はちょっと複雑で、なんで他の男の話をするんだと、ちょっと怒りのような感情を抱いていた。
 完全に嫉妬ではないか。落ち着かせるためにコーヒーを流し込んだ。
 
 どうしたら彼氏ができるの?もう諦めて仕事の人生を歩みますとか、自虐を繰り返す君に僕は、思わず
「そんなことないよ。僕が独身なら君を誘いたい。」
真面目な顔でちょっと大きな声で言ってしまった。

一瞬、女子会の雰囲気が一変した。
「えっ あ ありがとうございます。」君はちょっと照れ笑いしていた。
このままだと、すぐに女子会に戻ってしまう。
僕は続けた。
「僕は許されるなら君とSEXしたい。」
単刀直入すぎて、もう誤魔化すこともできない。
君は驚きとちょっと困った顔して、何か言い出しそうだった。

僕は君の言葉を待たずに、「部屋とっていい?」
僕は君の顔を見ずに予約の手続きを始めた。

こんな時に限って、スムーズにページが飛ばない。
焦る僕。
君はクスって鼻で笑いながら、窓の外の遠くの綺麗な景色を見ながらコーヒを飲んでいた。

「取れたっ」
 僕は残りのコーヒーを一気に飲んで、テーブルのレシートを掴み君の椅子を引いた。
僕は急足で出口に向かった。
君はゆっくりと僕の後をついてきた。
 
急すぎる展開に僕自身が驚いていた。
数階のエレベーターのはずがとても長く感じた。

止まった。

ドアが開くと僕は、君の手を掴んで急いで部屋までの廊下を進んだ。
君は僕のスピードを抑えるように、ちょっと引っ張るようについてきた。

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