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子供と手を繋いで夜桜を見る

子の習い事のメンバーで、花見をした。
神社の参道で、まばらに咲いた桜をちょっとだけみて、カセットコンロで焼き上がってゆく肉にみんなで群がった。

子供達はお腹が落ち着くと、薄暗い中、神社に遊びに行ったり、屋台をひやかしたり、みんなで走ったり思い思いに遊ぶ。親たちはお酒を飲んだり、焦げた肉をつまんだりしつつ、たわいもない話をしていた。そして夜。

そろそろ帰ろうと大人はみんなでシートやらコンロやらを片付けて、子供達は名残惜しそうに遊んでて、私は一旦車に荷物を積みに行った。そうして戻ると、暗闇の中、提灯がほわんほわんと並ぶ道を、遠くから末の息子が「おかあさーん!」駆けてくる。その後ろから上の息子も歩いてくる。2人と手を繋いで、桜並木の道を歩く。遠くでは習い事の皆が、わいわいと写真を撮っているが、我ら3人はちょっと離れて桜を見上げる。

「おかあさん、きれいだね」
「ほんとだねー」

友達や知人が集まる場所で、どうしても輪の中からはみ出てしまう。すっかりそういうポジションに私は慣れてしまっているけれど、息子たちもあの輪の中にいれなかったのか、ただ何も考えずに私を迎えに来てくれたのか。

ちょっと離れて皆が写真を撮り終わるのを待って、「お先に失礼しまーす!」と声をかけて帰る。「たのしかったねー」と言いながら華やいだ気持ちで息子たちと歩く夜桜の道。ちょっと嬉しくてちょっと寂しい。この瞬間を忘れたくないなと思いながら、桜を見上げてた。

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